弊社のLINE公式アカウントより、『赤色アルマイトを剥離して、ブロンズアルマイトにしたい』とご相談がありました。

LINE公式アカウントからのお問い合わせなので、写真も簡単に送ることができるため、写真も送ってくださいました。

この写真のように大きさがわかるように写真を撮ってくださると、すぐに見積もりもお伝えしやすいので、非常に助かります。

『色調に色味がありますか?』というご相談もありましたので、弊社で持っているブロンズの染料の色見本の写真をお送りして、確認していただきました。

『一番右側の色調は、薄いため、真ん中よりも左側の色調に仕上げてほしい』ということでしたので、その範囲内で染色するようにして作業を進めていきます。

1.赤色アルマイトの剥離

今回の製品は、一部レーザーで彫刻されている部分があります。
赤色アルマイトを施した後に、レーザーで文字の縁取りを彫刻してあります。
この彫刻の跡は、アルミニウム素地に掘られているため、アルマイトを剥離して再加工したとしても残ってしまいます。

早速、製品表面を脱脂処理して、表面の油分を除去していきます。

脱脂処理

1つだけの部品ですので、ステンレス製のフックに製品を引っ掛けて、手作業で剥離作業を行っていきます。
55℃に加温された脱脂剤に製品を5分間浸漬したあと、水で脱脂剤を洗い流します。

苛性ソーダ剥離

脱脂が完了したら、40℃に加温された苛性ソーダ溶液に製品を入れてアルマイト皮膜を剥離していきます。およそ1分ほどでアルマイト皮膜が剥がれますが、表面にスマットと呼ばれる汚れが残った状態になりますので、脱スマット液に浸漬し、スマットを除去して綺麗なアルミニウム表面にします。

脱スマット

少し穴の中に赤色の染料が残っている感じがありますので、再度苛性ソーダ溶液に浸漬して、剥離をしていきます。
完全に、ここでアルマイト皮膜を除去しておかないとアルマイト皮膜が残っている部分などが後で剥離してしまったり、白く残ってしまったりする場合がありますので、剥離作業は丁寧におこなう必要があります。

アルマイト皮膜の剥離する方法について、以前の記事でもご紹介していますので、ご参考にしてください。

アルマイトを剥離する3つの方法

2.アルマイトを剥離した表面

今回の製品は、アルマイト後にレーザー彫刻が施されている部品でしたのでレーザー彫刻部分が、どのようになったのか?ご紹介したいと思います。
アルマイトを剥離した状態が下記の写真になりますが、これぐらい製品から離れた写真ですとレーザー彫刻部分がわかりにくいかと思います。

ですが、拡大してみるとハッキリとわかります。

写真では、わかりにくくお伝えしにくいですが、肉眼では離れていても見えるレベルになってはいます。

では、この状態の製品をカラーアルマイトした場合、白く残るのか?どんな風になるのかをご紹介したいと思います。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.ブロンズアルマイトに仕上げる

アルマイト皮膜を剥離した製品を、治具にラッキングしてアルマイトを施します。
一番気になるのは、レーザー彫刻部分の仕上がりかなぁと思うのですが、剥離した状態で1メートルほど離れてみるとわからないレベルではあったので、ブロンズアルマイト後は、どんな風になるのか?

下記の写真のように仕上がりました。

ブロンズアルマイト後

ほとんど、わからない状態になっているかと思います。
拡大すると、どんな感じに仕上がっているのか??

ブロンズアルマイト拡大

いかがでしょうか?
拡大しても、わかりにくい感じに仕上がっているかと思います。

染色のカラーによっては、文字の部分の色が分かりやすくなることもありますので、必ずわかりにくくなるということはありませんので、ご注意ください。

4.動画で解説しています。


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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者
危険物取扱者乙種4類