先日、お客様からのご依頼で、シマノ製フラットペダル PD-M828の黒色アルマイト を剥離して、オレンジ色にして欲しいとご依頼がありましたので、ご紹介したいと思います。
シマノ製フラットペダル PD-M828は写真の通り、黒色アルマイトされているのですが、シルバーの部分をテスターで導通を確認してみると、シルバーの部分もアルマイトされています。タップ部分は後で加工されているようで、アルマイト皮膜は施されていませんでした。
アルマイト皮膜が施されている部分は、通電がありませんので、テスターでアルマイト皮膜が施されているか確認することができます。
以前に、『無色アルマイトが処理されているか?簡易的に判断する方法』でご紹介していますので、ご参考にしてください。
1.アルマイトを剥離する
最初に、異種金属が埋め込まれていないか部品を確認します。
異種金属が取り付けられていたりすると、不具合の要因になってしまうため重要なポイントになります。
異種金属が付いていないことを確認し、治具に取り付け現在の黒色アルマイトを剥離します。
加温した苛性ソーダ溶液に浸漬して、2分ほど浸漬します。
剥離が終わった状態は、こちらの写真のようになります。
黒色アルマイトの状態の際に、シルク印刷がされていた部分は、このように痕が残ってしまいます。
2.アルマイト加工を施す
剥離が終わったペダルを、再度治具にラッキングしアルマイト加工を施します。
剥離した際に、黒くスマットが発生していたので、A7000系のアルミ素材で作られている製品だとわかっていますので、水分に長く触れていると腐食する恐れがありますので、スピーディーに工程を進めていきます。
脱脂→エッチング→脱スマット→アルマイトと、ここまでが重要になります。
電解が始まってしまえば、アルマイト皮膜が生成しますので一安心です。
アルマイトの電解が終わり、染色をおこないます。
今回、濃いめのオレンジがご希望とのことですので、オレンジの染料の中で15分ほど染色します。
3分染色
10分染色
15分染色
※クリックすると画像が拡大します。
染色の濃さを確認し、想定の色調にあっているようであれば水で染料を洗い流し、封孔処理をおこないます。
色が薄い場合は、染色時間を延長することで濃くすることは可能です。
濃くなりすぎてしまった場合は、染料を脱色して再度染色をやり直すことになりますが、封孔処理されてしまった場合は脱色することはできないため、アルマイト皮膜を剥離するところからおこなわなければなりません。
3.オレンジアルマイト完成
乾燥が完了した製品が、下記の写真になります。
治具から外して完成となります。
シルク印刷部分は文字が残ったようになっています。
シルク印刷は剥がれているのですが、シルク印刷されていた部分は他の部分と表面状態が違うため、このように痕跡が残ってしまいます。
これを防止したい場合は、アルマイト前にサンドブラストなどをおこなうことで印刷部分の文字痕をなくすことができます。
4.動画で解説しています。
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『他社にA7075のアルミ部品をアルマイト依頼したのですが仕上がりが酷くムラが生じています。なんとかできませんか?』とご相談が