『カラーアルマイトをD I Yでおこなったら、封孔処理で色がほとんど抜けてしまった』というコメントをYouTubeコメントでいただきました。

通常の工程では、色がほとんど抜けてしまうようなことはあまりないのですが、
中には、染料の種類とアルミニウム材質が合わなくて抜けてしまうこともあります。
実際に、その現象を経験したこともあります。

その時は、緑色を染色したのに封孔処理をすると青色になってしまうという現象で、アルミニウム材質はA2017でした。

今回は、それとは違うようなので、コメントのやり取りをさせていただき、対策方法を一緒に検討させて頂きました。

アルマイト条件をお聞きすると、
・市販のアルマイトキットを使用されている
・1度目のアルマイトは色抜けしない2度目で色が抜けてしまう。
・アルマイトの温度・時間は同条件である
・染色後は、同程度に色が染色されている。
・染料は同日中で同じもの。
・封孔処理液は何度か使っている。
・封孔処理液の濃度は、規定値よりも若干薄め
との情報をいただきました。

実際には、何度かのやり取りの中でお聞きした話になります。
これを踏まえて、対策を検討していきます

1.市販のアルマイトキットの使用

市販のアルマイトキットというものが販売されているようで、
DIYするのであれば、非常に便利だと思います。

私もネットで検索してみましたが、ある程度必要な物がセットになっていて
初めてDIYでアルマイトをするにはちょうど良いセットだと思います。

アルマイト液は、硫酸を使って建浴をするので結構危険な作業なのですが、このセットの場合は、
希釈された硫酸がポリ容器に入っていて、それをそのまま使用するようですので、その辺も扱いやすいかとは思います。

化学薬品を使いますので、ゴム手袋・保護メガネなどの着用は必須です。
保護メガネは、メガネタイプのものよりもゴーグルタイプのものを使うことをお勧めします。

市販のアルマイトキットは、アルマイト液・染料・封孔剤などがセットになっているようなので、D I Yでおこないたい場合には、十分な内容かと思います。

2.ロットにより色の抜け具合がバラつく

色の抜け具合がロットにより、ばらつくということなのですが、着色度合いが処理する日によって違うということはありますが、同じ日に着色して封孔処理して色が抜けてしまった経験はありません。

色抜け具合が違うという場合、
・アルマイトの条件がばらついている
・染色の条件がばらついている
・封孔処理の条件がばらついている
ということが考えられます。

安定して同じものを作る場合、条件を一定にするのが基本になります。
そこで、条件を確認させていただき、一つずつ問題ないか確認していきましたので、
この後、ご紹介していきます。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.アルマイトの温度・条件は!?

一番基本となるのは、アルマイト電解時の条件です。
ここがばらついていると、基本的バラつきます。
アルマイト電解時の条件とは、アルマイト液の濃度・温度・時間そして肝心なのが、電流です。

アルマイトキットの場合、車用のブースターケーブルが付属でついているようなので、定電圧電解で、12V設定が多いのかもしれません。
ですが、アルマイト皮膜の厚さを決めるのは、部品の表面積辺りに流れる電流量になりますので、必要な電流量が定電圧時に流れているかが大切です。

電解初期には、12Vで電解を開始すると、10A流れていたとします。
ですが、時間の経過と共に、電流が低下してくるかと思います。

これは定電圧で電解している為、不動態化皮膜のアルマイト皮膜が生成すると、時間の経過とともに、12Vで流せれる電流しか流れていかなくなる為の現象です。

この現象は定電圧電解をする以上、避けられないことになります。
定電流電解ができる整流器を用意することで、一定の電流を流し続けることができますが、定電流電解の場合は、電圧が上昇する為、接点部分がより強く接触させてある必要があります。

また、接点部分の接触圧力が弱いと電圧が上昇した際にスパークしてしまい、焦げ付いてスパーク部分が、えぐれてしまうこともあります。

『アルマイト工程は、どんな工程なのか知りたい』と相談がありました。

4.染色の色合わせ

ロット違いで、染色した製品を同じ色に合わせたい場合、アルマイトの条件が、同じであることが第一条件となります。
そして、アルミニウム材質が同じであることが大切です

当たり前のことですが、染色の条件も同じである必要があります。
染色液の濃度・温度・時間・pHが同じであることです。

染色液は、部品を染色することで、染料が部品に施されたアルマイト皮膜中に吸着していきます。その為、1回目と10回目の染色では染料の濃度が低下していきます。

染色により、吸着される染料の量は微量ではありますが、ずっと、そのまま使えるものではありません。ある程度のところで、染料を補給するか、または交換する必要があります。

染色液は加温していますので、温度の上下がおこります。
この上下範囲をできるだけ狭くします。

染色の時間は、最初に染色したときに希望の色になった時間をタイマーなどで測っておきます。その時間と同じ時間染色することで、同一条件になります。

ここで、部品のアルミニウム材質が違った場合、染色スピードが違ってきますので、染色時間を調整しなければ、ジュラルミン系のA7000系やA2000系の材質は予定よりも濃い色に染色されてしまいます。

染色液のpHは、アルマイト後に水で洗っていても、アルマイト液を持ち込んでくる可能性があります。その為、染色液のpHが下がってきて、酸性側に近づいてくる可能性があります。酸性側になってくると染色スピードが速くなり、染色の濃さに影響を与えますので、染色前には十分に洗浄してから染色する必要があります。

アルミ材料の種類が違うとアルマイトの仕上がりの色も違うの!?

5.封孔処理液の条件

封孔処理をDIYでおこなう場合、沸騰水封孔または酢酸ニッケルによる封孔処理が一般的だと思います。

アルマイトキットに入っている封孔剤も、粉末状の酢酸ニッケルが入っているようです。
酢酸ニッケルの液の場合、下の写真のように、お湯に溶かすと淡い緑色の液体になります。

きれいな封孔処理液 汚れた封孔処理液

※この写真は弊社の封孔処理液ですので、液体の封孔処理液を使用しています。

色抜けを考えると、沸騰水封孔の方が封孔処理中に色が抜けていく量が多くなります。
また、沸騰水封孔に使っているお湯が汚れてくると封孔処理がされにくくなってくる為、こまめに交換が必要になります。
沸騰水封孔で使用するお湯は、純水を使うことが必須条件となります。

酢酸ニッケル封孔処理液の場合、酢酸ニッケルの濃度が重要になります。

濃度が薄いと、沸騰水封孔処理を行っているのと変わらなくなってしまいます

その為、色が抜けてしまう可能性も高くなりますので、決められた濃度で封孔処理液を作り使用することが重要です。

また、酢酸ニッケル封孔処理液でも、染料の抜けが若干はおこりますので、
最初に液を作った時の透明な薄い緑色の液が、上の写真のように濁ってきたら交換する必要があります。

染色のところでも、書きましたが、封孔処理液もpHの影響を受けます。
長く交換せず、封孔処理液を使用していると酸性側になってきていたり、
アルカリ性側にふれてきたりしますので、封孔処理液のpHも確認する必要がありますが、
pH計などは持っていないよ!という場合は、ある程度の量を封孔処理したら交換することがおすすめです。

今回の色が抜けてしまうという現象の中で、封孔処理液を薄めに作られているとのことでしたので、
封孔処理がかかる前に染色した染料が封孔の中に抜け出てしまっている可能性がありますので、濃度を規定の値に戻すことで改善されるかと思います。

また、pHが変動しているようであれば、アルマイト後の水洗いをしっかりとおこない、アルマイト液を洗い流しておくことも重要になります。

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