お問い合わせフォームより、『アルミ板の両面をサンドブラストして、艶消し黒色アルマイト』したいとご相談がありました。

メールには写真も添付ファイルで添付されており、製品サイズも120mm×50mm 板厚4mm 材質はA5052と記載していただきましたので、表面積を計算して見積もり金額をご連絡させていただきました。
アルマイト加工費用以外にも、送料は別途となっていることも含めて返信させていただきました。

後日メールがあり、アルマイト加工をご依頼いただけるという事でしたので、製品を弊社に送っていただき、こちらの部品が1つ届きました。

お問い合わせ画像

よく、『1個でも処理を受けていただけますか?』と聞かれますが1つでも受け付けています。

では、今回サンドブラストして、艶消し黒色アルマイトを施した事例をご紹介していきたいと思います。

1.部品の確認

送っていただいたアルミ板の現状を確認します。
現状、一度は組み付けられたのか?穴の周辺に、ワッシャーの押し付けられたような跡があります。浅く跡がある部分は、サンドブラストで消せそうな感じではあります。
そのほか、側面はワイヤーカットで作成されたのか、梨地の表面になっていて表面はヘアーライン加工されている外観です。
これであれば、サンドブラストできれいな梨地面を作ることができそうです。

素材

板厚も4mmありますので、サンドブラストで曲がるようなことも無さそうではありますが、念のため、あまり近くから投射しないようにしないと部品の残留応力で板が反ってしまう場合もあります。

2.サンドブラスト加工

アルミ板を、サンドブラスト装置の中に入れて、サンドブラストを投射していきます。
エアーの圧力、ブラストノズルと部品との距離をある程度離して、サンドブラストを投射します。
距離が違いと、ブラストムラが出やすくなり、エアーの圧力が高くても、同じようにムラが出てしまいます。そして、あまり強烈にブラストをしてしまうと板が反ってしまうこともありますので注意が必要になります。

ブラスト後

部品全体を時間をかけて、均一にサンドブラストして梨地面を作り上げていきます。
慌てず、丁寧に投射することが大切になります。

今回の部品は、ブラストを打つ際に持ちにくい形状であったので、アルミの棒で簡単な治具を作成し、治具に部品を固定してブラストを打つようにしました。
ボルト穴などのある製品の場合などは、長いボルトの先に製品を取り付けたりして、ブラストを打つこともあります。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.艶消し黒色アルマイト加工

サンドブラストで表面を梨地状態にした製品を、治具にラッキングしアルマイトを施していきます。サンドブラスト後の表面は梨地状態になっているため、非常に傷つきやすい表面になっていますので、ラッキングの際にも、擦りキズなどが付かないように気をつけなければなりません。

もしも、擦りキズがついてしまった場合には、サンドブラストからやり直しになります。

脱脂→エッチング→脱スマット→アルマイト→染色→封孔処理と工程を進めるのですが、
穴の内面などはサンドブラストが当たりにくい部分でもありますので、気になる場合には、脱スマット後に、化学梨地工程も加えると、穴の内面なども艶消しに仕上がります。

特にパイプ状の製品や、板厚の厚いものなどに有効な方法ではありますが、化学梨地の液はアルミニウムの材質を選びますので、化学梨地の液で艶消し可能な材質に限られてしまいます。

アルマイトが完了し染色、封孔処理がされ完成した製品が下記の写真になります。

アルマイト後2

無光沢の黒色に仕上がっています。
この状態でも爪などで製品をひっかくと、爪が削れ白っぽくアルマイト表面に線が入ってしまいます。これはアルマイト皮膜が削れたのではなく、爪がアルマイト皮膜の凹凸によって削られアルマイト皮膜の表面に付着したものになります。

ちょうど、サンドペーパーのやすりの部分に爪を擦り付けたのと同じ状態になるという事です。
そうなってしまった場合には、柔らかい布を水で濡らし、拭き取ることで綺麗になりますが、ウエスの繊維クズが付着してしまうこともありますので、ご注意ください。

4.動画で解説しています。


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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者