先日、釣りで使用するリールの部品をお客様が持ち込んでくださって、『白色アルマイト を剥離して金色アルマイトにして欲しい』とご相談がありました。
持ち込んでくださったのが下記の部品になります。
アルミ以外の金属は、全て取り外してありアルミニウム部品のみにしてくださってあります。
こう言う状態であれば、アルマイトを剥離して再アルマイト加工することは、そんなに大変な部品ではなさそうです。
ただし、ベアリングなどを後で圧入したりする部品の場合は注意が必要です。
釣具を再アルマイト加工する際に、気をつけないといけない内容を4つご紹介しておきます。
- アルミニウム以外の金属は全て取り外す
- 印刷などがされている部分は注意が必要
- クリア塗装されていると再加工できない
- 部品に傷などがある場合
最後に、今回金色にアルマイトした製品をご紹介します。
1.アルミニウム以外の金属は全て取り外す
釣具などの部品の場合、購入された時点や、使用されている時点で、ベアリングやネジ類など組み立たられた状態だと思います。
その状態のままでは、アルマイト加工の際にアルミニウム以外の金属は、一部または、全部が溶解してしまったりします。樹脂などの部品でもアルマイト工程中で熱が加わるため、歪んでしまったりする可能性がありますので、全て外していただく必要があります。
アルマイト加工業者の方では、組み立てられた部品を分解することはできませんので、事前にお客様側でおこなっていただく必要があります。
どうしても分解できない、取り外すことができない場合、建築などで使用されるコーキング剤を塗っていただき、液体が異種金属の部品に触れないようにマスキングをしていただくことで外さなくて良い場合もありますが、マスキングのさかえめなどは、綺麗に仕上がらないことをご了承ください。
アルマイト完成後、マスキングに使用したコーキングはお客様側で剥がしていただくことになるのですが、結構、大変な作業になると思います。
2.印刷などがされている部分は注意が必要
リールなどの部品で、釣具メーカーブランドの印刷がアルマイト加工面にされている場合があります。
この場合、アルマイト を剥離したり、再アルマイト加工した場合に、マスキングの変わりになってしまったり、アルマイト中に剥がれてしまったりする場合があります。
そのため、アルマイト業者の方で印刷部分がどのように仕上がるかは、わからない場合がありますのでご注意ください。
3.クリア塗装されていると再加工できない
釣具は、海辺で使用するためアルマイト加工後にクリア塗装がされている場合があります。
クリア塗装がされている場合、アルマイト皮膜を剥離するための苛性ソーダ溶液に浸漬しても反応せず、アルマイト皮膜を剥離することができません。
事前にお客様側で、塗装の剥離剤などでクリア塗装を剥離しておいていただく必要があります。
サンドブラストでも塗装の剥離はできますが、内面など綺麗に剥離できない場合がありますので、剥離剤で念入りに剥離しておいていただく方が良いです。
4.部品に傷などがある場合
再アルマイト加工したい部品に、素地まで達するような傷がある場合、磨いてからアルマイトしたいと事前に磨いて持ち込んでくださる場合がありますが、アルマイトを剥離する前に磨いてしまうと、磨いた部分と磨いていない部分との光沢や表面状態の違いができてしまいます。
そのため、現在施されているアルマイト皮膜を剥離してから、磨く作業をおこない、全面同じように磨いていただく方が仕上がった時に綺麗に仕上がります。
剥離のために、持ち込むのが手間かとは思いますが、その一手間が最終的な仕上がりを左右してしまいますので、ご注意ください。
5.今回の金色アルマイト部品
今回の部品は、現行の白色アルマイトを剥離して、金色アルマイトにして欲しいと言うことで、サンドブラストや化学研磨などの他の作業はありません。
また、剥離した状態では、ジュラルミン系の素材でもなく、A5000系の分類と思われる状態でしたので仕上がりも悪くはならないことが想定できました。
傷などはもともとありますが、このまま金色のアルマイト を施した製品が下記の写真になります。
A5000系の素材の場合、アルマイト皮膜を施しても発色などはしにくいため、染色加工も綺麗に仕上がります。
ねじ穴などの穴の内面も綺麗に金色にアルマイトされていることが写真からもわかるかと思います。
6.動画で解説しています。
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