アルミニウムの表面処理、アルマイトを依頼して

  • 失敗してしまった。
  • 色調が違った。
  • 腐食してしまった。
  • 染色が綺麗にできなかった

など、不具合が発生してしまったことがありませんか!?

アルミ腐食

ある!!

という方は、これからご紹介する下記のことに注意してみてください。

まずは、アルマイトとはどんなものなのかを最初にご紹介させていただきますので、
把握していただき、最後に『失敗しないために気をつけること』をご紹介させていただきます。

1.アルマイトの概要

皆さんの日常生活の中にもアルマイトされた製品がたくさんあります。
例として、

雪平鍋
雪平鍋

やかん
やかん

アルミサッシ
アルミサッシ

カーポート
カーポート

など、様々な製品があります。
アルマイトの歴史は、まだ、そんなに長くなく1929年に理化学研究所の植木さんという方が製造方法を発明し、1931年に特許を宮田さんという方が取ったのが始まりです。

1960年には、硬質アルマイト法という硬い皮膜を生成させる方法が実現され、自動車・工学部品・航空業界に広まりました。

2.アルマイトは、なぜ染色できるのか!?

アルマイトは、専用の染料で染色することができるので、様々な色調に染色できるのですが、
なぜ、染料で染めることができるかというと、アルミニウムを酸性の溶液中でアルミニウムにプラスの電流を流して、電解するとアルミニウム表面に蜂の巣状の穴の空いた皮膜が生成します。

この蜂の巣状の穴の空いた皮膜の中に、染料が入って着色されることにより、様々な色になるのです。

アルマイト青染色

蜂の巣状の穴の中に染料が入るのに、なぜ、表面から見た時に染色されている色で見えるのだろう!?と思う方もいるかもしれません。

私もアルマイトを始めたばかりの頃は、そう思いました。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.アルマイト皮膜は、透明!

アルマイト皮膜というのは、基本的に無色透明なのです。
その無色透明の皮膜の穴の中に染料を入れているので、染料の色が透けて表面から見えるわけです。

『無色透明の皮膜!?でも、無色アルマイトをすると、少し金色っぽく色が出たり、褐色になったりする場合がある』

と思う方もいるかと思います。

そうなのです、材質によっては色が発色する場合があります。

アルミニウムには、

とあるのですが、純粋なアルミニウムは柔らかすぎて強度がなかったりします。
その弱点を補うためにアルミニウム合金には様々な金属を添加して強度を出したりして特性を変化させています。

その添加されている金属の割合によって、酸溶液中で電解された時に発色するのです。
そして、皮膜が厚ければ厚いほど色が発色してきます。

例として、

無色透明のセロファンを1枚だけアルミニウムの上に乗せた場合と、
100枚載せた場合では、上から見ると透明のセロファンでも少しアルミニウム表面の色が違って見えると思います。簡単に言うとこのような現象が起こっているわけなのです。

※『皮膜が厚かったり材質が違うと、皮膜の色が違ってくる』と考えていただければ良いかと思います。

4.アルマイトの再加工

アルマイトされている製品を再加工して欲しいという場合がありますが、
アルマイト皮膜は剥離すると、必ず綺麗に剥離できるとは限りません。
剥がすとムラになってしまう場合もあります。

アルマイトされている製品の、アルミニウムの材質が明確であれば、「剥離する前に剥離して大丈夫か?」判断できるのですが、材質が不明な場合は、剥がすリスクもあります。

剥離した場合、

  • 艶がなくなる
  • ムラがひどい
  • 表面が荒れてしまう
  • 寸法公差からはずれる

このような場合があります。

また、弊社でアルマイトした製品であれば、アルマイト皮膜の情報もあるのですが、他社でアルマイトをした製品の再加工の場合、

  • どれぐらいの厚みの皮膜が生成しているのか?
  • どんな処理をしてあるのか?

などが不明確なため、リスクが高いです。

もしかしたら・・・
アルマイト皮膜の上にクリア塗装や何かコーティングされているのかも!?しれません。
そういう情報が何もない状態というのは、非常にリスクが高いので注意が必要です。

アルマイトの剥離動画:

 

5.失敗しないためにアルマイトを頼む際に気を付けること

アルマイトを業者に依頼する際に注意して欲しいのが、

  • 材質を必ず伝える。
    (A7000系のように腐食しやすい材料もあるため)
  • 鋳造品・ダイキャスト品は、綺麗に仕上がらない場合が多い。
    (巣穴や金属組成などの影響)
  • 再加工品は、綺麗に仕上がらないリスクもある。
    (剥離のムラ・艶が消える・寸法公差外れ)
  • カラーアルマイトを依頼する場合は、色調をしっかりと打ち合わせする。
    (色の濃淡など、思っている色は言葉では通じていない場合がある)
  • アルミニウムを磨く時は、アルミニウムに熱を帯びさせないように磨く。
    (熱が加わると、表面が変質する)

この5つを気を付けるだけでも、
『アルマイトを依頼したのに、綺麗に仕上がらなかった』とならなくて済むこともありますのでご参考にしていただければと思います。

表面処理の問題解決します。加工可能な表面処理、お問い合わせ前にご確認ください。

6.動画で解説しています。


 

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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者