ステンレスは、一般的に「錆びにくい」金属として知られています。しかし、実は もらい錆 と呼ばれる現象で錆びてしまうことがあるのです。
もらい錆とは、他の金属が錆びた際に発生する錆が、ステンレスに付着して錆びてしまう現象です。ステンレス自身が錆びるのではなく、 表面に付着した錆が原因で錆びて見える という点が特徴です。
この記事では、ステンレスのもらい錆の原因と効果的な対策方法を詳しく解説します。

1.もらい錆の原因

もらい錆が発生する主な原因は以下の通りです。

  • 鉄製の工具や部品との接触
    ステンレス製品に、鉄製の工具や部品が長期間接触していると、鉄から発生する錆がステンレスに付着してしまいます。
  • 鉄粉の付着
    研磨作業などで発生した鉄粉が、ステンレス製品に付着して錆びる原因となります。
  • 錆びた水との接触
    錆びた水に長時間浸かっていると、水に含まれる鉄イオンがステンレスに付着し、錆びてしまうことがあります。

2.もらい錆の対策方法

もらい錆を防ぐためには、以下の対策方法があります。

  • 鉄製工具や部品との接触を避ける
    ステンレス製品を使用する際は、鉄製工具や部品との接触を避けましょう。どうしても接触が必要な場合は、間に絶縁シートを挟むなどの対策が必要です。
  • 鉄粉の除去
    研磨作業後は、必ず鉄粉を除去しましょう。掃除機や磁石などで鉄粉を徹底的に取り除きます。
  • 錆びた水との接触を避ける
    錆びた水に浸かる可能性がある場合は、ステンレス製品を使用しないようにしましょう。どうしても使用する必要がある場合は、使用後に水でよく洗い、乾燥させることが大切です。
  • 表面処理を行う
    ステンレス製品の表面に、パシペート処理などの表面処理を行うことで、もらい錆を防ぐことができます。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.もらい錆を見つけた場合の対処法

もらい錆を見つけた場合は、早めに除去することが大切です。放置しておくと、錆が広がり、除去が困難になるだけでなく、製品の強度を低下させる可能性もあります。

もらい錆の除去方法は、錆の程度によって異なります。軽度な錆の場合は、中性洗剤や研磨剤入りの洗剤で擦り落とすことができます。しかし、ひどい錆の場合は、専門業者に依頼する必要があります。

ステンレスのもらい錆は、適切な対策を行うことで防ぐことができます。この記事で紹介した対策方法を参考に、ステンレス製品を長く錆びずに使用してください。

もらい錆は、ステンレス製品の見た目だけでなく、機能にも悪影響を及ぼします。例えば、もらい錆が付着したまま放置すると、ボルトが固着したり、部品が破損したりする可能性があります。
ステンレス製品を長く美しく使用するためには、もらい錆対策をしっかりと行うことが大切です。

表面処理の問題解決します。加工可能な表面処理、お問い合わせ前にご確認ください。

この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者
危険物取扱者乙種4類