ステンレスは、一般的に「錆びにくい」金属として知られています。しかし、実は環境や種類によっては錆びてしまうことがあるのです。こ記事では、ステンレスが錆びる原因と、種類や環境に合わせた対策方法を詳しく解説します。

1.ステンレスが錆びる仕組み

ステンレスは、クロムなどの金属を添加した合金鋼です。これらの金属は、空気中の酸素と反応して表面に不動態皮膜と呼ばれる酸化皮膜を形成します。この不動態皮膜が、ステンレスを錆から守る盾の役割を果たしているのです。

しかし、何らかの原因で不動態皮膜が傷つき剥がれてしまうと、ステンレスは錆びやすくなってしまいます。具体的には、以下のような原因が考えられます。

2.ステンレスの種類と錆びやすさ

ステンレスには、様々な種類があり、それぞれ錆びやすさが異なります。一般的に、クロム含有量が多いステンレスほど錆びにくくなります。

代表的なステンレスの種類と、錆びやすさは以下の通りです。

  • SUS304: 最も一般的で、比較的安価なステンレスです。錆びにくさもあり、幅広い用途に使用されています。
  • SUS316: SUS304よりもクロム含有量が多く、より錆びにくいステンレスです。塩素や酸などに強く、海洋環境や化学プラントなどでの使用に適しています。
  • SUS440: 硬度が高く、耐摩耗性に優れたステンレスです。しかし、錆びやすいため、刃物や工具などに使われます。

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3.錆びやすい環境

ステンレスが錆びやすい環境としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 塩素や塩分が多い環境: 海沿いの地域や、塩素系漂白剤を使用する場所などは、ステンレスが錆びやすい環境です。
  • 酸性やアルカリ性の強い溶液が多い環境: 化学工場や、酸性洗剤を使用する場所などは、ステンレスが錆びやすい環境です。
  • 高温多湿な環境: 高温多湿な環境は、不動態皮膜を劣化させ、ステンレスを錆びやすくします。
  • 摩擦や傷が多い環境: 機械部品など、摩擦や傷が多い環境では、ステンレスが錆びやすくなります。

4.ステンレスの錆びを防ぐための対策方法

ステンレスの錆びを防ぐためには、以下の対策方法があります。

  • 適切な種類のステンレスを選ぶ: 使用する環境に合った、錆びにくい種類のステンレスを選ぶことが重要です。
  • 定期的な洗浄と乾燥: ステンレス表面に汚れや水分が残っていると、錆びの原因となります。定期的に洗浄し、しっかりと乾燥させることが大切です。
  • 傷をつけない: ステンレス表面に傷をつけると、不動態皮膜が損傷し、錆びやすくなってしまいます。研磨剤入りの洗剤や、硬いたわしなどは使用しないようにしましょう。
  • 塩素や酸性・アルカリ性の溶液に触れない: 塩素や酸性・アルカリ性の溶液は、ステンレスを錆びさせる可能性があります。これらの溶液に触れないように、あるいは触れた場合はすぐに水で洗い流すようにしましょう。
  • 定期的に表面処理を行う: 定期的に研磨やパシペート処理を行うことで、不動態皮膜を修復し、錆びを防ぐことができる。

5.種類や環境に合わせた具体的な対策方法

上記の基本的な対策方法に加え、種類や環境に合わせた具体的な対策方法もいくつかあります。

  • 塩素や塩分が多い環境: 塩素や塩分が多い環境では、塩素除去剤を使用したり、ステンレス表面に防錆被膜を形成するコーティングを施したりすることで、錆びを防ぐことができます。
  • 酸性やアルカリ性の強い溶液が多い環境: 酸性やアルカリ性の強い溶液が多い環境では、耐酸性・耐アルカリ性の高いステンレスを選ぶ

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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者
危険物取扱者乙種4類