今回ご依頼いただいたのは、ハブリングを黒色アルマイトにしたいということで、新品未開封の状態でお預かりしました。

ハブリングの入っている袋の台紙には、A6063-T6と材質も記載されているので、アルマイト性も良い材質だということがわかります。

青色アルマイト品

材質

現在施されている青色アルマイトも非常に綺麗な色調をしています。
この状態であれば、剥離して黒色アルマイトを施しても綺麗な仕上がりになることが想像できますので、剥離して黒色アルマイトにしていきたいと思います。

1.青色アルマイトの剥離

現在施されている青色アルマイトを剥離するために、治具にラッキングします。
この青色アルマイトの皮膜厚さは、事前にアルマイトの膜厚を測定したところ、7.4μmの皮膜が施されていましたので、剥離した場合2/100程度寸法が変化することになります。

では、ラッキングしたハブリングを脱脂して、表面の油を除去していきます。
『新品なので油は付いていない』と考えられますが、製造工程中に軍手で触ったり素手で触れられている場合、手や軍手の油分が付着している可能性がありますので、できる限り油分を除去してから剥離をします。

油分が残っていた場合、剥離の際に均一にエッチング効果が得られず、ムラになってしまう可能性もあるからです。

脱脂が完了したら、ブルーアルマイトを剥離します。
エッチング液に、40℃で90秒ほど浸漬するとアルマイト皮膜が溶解し剥離が完了します。

エッチング浸漬中

剥離完了

ブルーアルマイトの剥離が完了したら、脱スマットでスマットを除去し乾燥します。

剥離する際にラッキングしていた部分には以前のアルマイト皮膜が残っており通電しませんので、再加工前にラッキングを再度やり直し、接点の位置を移動しておきます。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

2.ハブリングに黒色アルマイトを施す

剥離が完了したハブリングを、再度治具にラッキングし直しアルマイト電解するための接点を取ります。

今回の製品は、比較的光沢も残っているため、このまま再加工を進めても完成時に光沢がそれなりにある状態に仕上がると判断しましたので、化学研磨は行わず通常の黒色アルマイト工程にて処理を進めていきます。

通常の工程は、

脱脂→エッチング→脱スマット→アルマイト→黒色染色→封孔処理→乾燥

となります。

化学研磨で光沢を出したり、化学梨地でツヤを消したりしたい場合には、脱スマット後にこれらの工程をおこなった後、アルマイト工程へと進めます。

今回は通常の黒色アルマイトですので、先ほどの工程を通り完成した状態が、下記の写真のようになります。

再加工する際に、治具にラッキングする場所については、ブルーアルマイトの際に接点として使われていた部分を確認し同じ場所で取るようにしています。

そうすることで、使用する際に接点の箇所が見えにくい位置になったり隠れる位置になるように接点の位置を確認してから処理をしています。
再加工する場合には、その辺りも注意する必要があります。

3.動画で解説しています。


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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者