ツヤ消しアルマイトと聞くと、ツヤが消えているアルマイトということは想定できるかと思いますが、
どのような仕上がり具合を求めているのかによって、化学梨地の前処理を使用するのか?
それとも、ブラスト処理で梨地にした後、アルマイトをおこなうのか?
表面処理の工程が全く違ってきます。
ブラスト処理と化学梨地で、どのような違いがあるのか?
コスト | 外観 | 低反射 | 特徴 | |
ブラスト処理 | △ | △ | ◎ |
ツヤ消し効果は高く、素材の傷なども消せるが、ムラが発生しやすく、薄い板などでは変形する場合もある。 |
化学梨地 | ○ | ◎ | ○ |
パイプの内面などにもツヤ消し処理が与えられるメリットがあるが、ブラスト処理ほどのツヤ消し効果はない。 |
わかりやすく表にしてみると、このようになります。
1.ブラスト処理によるツヤ消し
アルミニウム素材に、ブラスト処理を施すことで、アルミニウム表面に凹凸をつけ梨地面にする方法になります。
ブラスト処理を施すことで、素材についている切削時のツールマークや素材の傷などを消すことができ、アルミニウム素材に凹凸のある意匠性を付与することができます。
そして、凹凸をつけた状態でアルマイト皮膜を施すことで、ツヤのないアルマイト外観を得ることができますが、ブラスト処理を施した際に発生してしまう可能性のある、ブラストのムラが表面にあると肉眼で見てはっきりとわかるようなムラが発生してしまいます。
そのため、ブラスト処理をする際の技術が問われることになります。
ムラはなぜ発生するのかというと、ブラスト処理で得られる表面の粗さにバラツキがある場合に、ムラが発生します。
ムラをなくすには、表面粗さを揃えることで、ムラを抑えることができます。
下記の動画でアルマイト下地用のブラストの投射方法を解説していますので、ご参考にしてください。
アルマイト下地用サンドブラストの打ち方
アルマイト後にムラが発見された場合には、アルマイトを剥離しブラスト処理からの再加工となるため、寸法精度の厳しい製品の場合には公差から外れてしまう可能性が非常に高いため、失敗は許されません。
2.化学梨地によるツヤ消し
アルミニウム素材を、酸性の化学梨地剤に浸漬することで、アルミニウム表面にキメの細かい凹凸をつけ、ツヤの消えた表面を得ることができます。
ブラスト処理では、変形してしまったり、ブラスト処理が施せない筒状の製品や複雑な形状の製品などに向いています。
ですが、ブラスト処理ほどの表面の粗さを得られるわけでないため、切削時のツールマークを消したり、キズを消したりするレベルまでの凹凸は得られません。
また、化学梨地のツヤ消しのレベルは、化学処理であるためにアルミニウム素材の材質の影響を受けるため、材質によってツヤ消しのレベルが変わってきます。それ以外では、化学梨地剤の種類による影響も受けますので、適した材質であり、適した化学梨地剤であることが重要なポイントになります。
3.前処理の違いによるアルマイト後の外観
ブラスト処理と化学梨地というように、前処理の違いがあるとアルマイト後の仕上がり外観も変わってきます。
これは、アルミニウム素材に付与した表面の状態が違うためです。
『前処理の違いによる表面状態の変化』は、以前の記事でもご紹介していますので、ご参考にしてください。
以前の記事で使用したサンプルですが、左側がサンドブラスト後にアルマイトをおこなったサンプルで、右側が化学梨地後にアルマイトをおこなったサンプルになります。
写真では、違いがわかりにくいかもしれませんが、肉眼では、面の粗さや色調に違いがあり、素手で触ってみるとブラスト後アルマイトのサンプル表面はザラザラとした肌触りになり、化学梨地後アルマイトのサンプル表面は、凹凸はありますが、ツルツルとした表面になっています。
ブラスト処理後と化学梨地後では、下記の図のように表面の状態が違い、ブラスト処理後の場合には、鋭利に凹凸しているため触った時にざらつきを感じます。
ですが、化学梨地の場合には、凹凸の先端が鋭利ではないため、触った時にツルツルとした感触が感じられます。
どちらの処理を選んでもツヤが消えることには変わりがありませんので、製品の形状や材質などを考慮して適切な処理方法を選ぶ必要があります。
4.動画で解説しています。
ご相談・お見積りなど、お気軽にお問い合わせください。
お急ぎの際は、お電話にてご連絡ください。
0532-45-4025
【受付時間】
平日 8:30~17:00
土・日・祝、会社休業日除く