以前にYouTubeにアップした動画で、『アルミニウムを化学梨地処理し、艶消しアルマイトを行う』というのがあるのですが、そちらの動画に『薬品による処理の間にある水洗いは特に品物を揺らすたり、出し入れ等しなくでも部品に残った薬品は洗い落とされるものなのでしょうか?』というご質問があったので、ご紹介したいと思います。
下記の動画が、その動画になるのですが、浸けているだけに見えますか?
1.水洗は重要ポイント
めっきやアルマイトなどの表面処理では、薬品処理工程と薬品処理工程の間にある水洗という水で製品を洗浄する工程は、非常に重要な部分になります。
なぜ重要かというと、薬品で処理された製品には薬液が付着しており、水洗がないとその薬液を次の工程へ持ち込んでしまい化学反応などを起こしてしまい、変質・薬液の成分バランスなどが崩れてしまい適切な処理がおこなえなくなる可能性があります。
そのために、必ず薬品処理工程の後には水洗工程が設置されます。
2.設備による違い
手動ライン・自動ライン、どちらのラインでも、水洗工程が設置されるのですが、手動ラインでは、水洗する時間・動きなど人の感覚により製品毎に調整が可能なのですが、自動ラインの場合、事前に設定された時間・動きに固定されるため、自動なら必ず何にでも対応できるというわけではない場合もあります。
そこで、自動ラインで表面処理をされている表面処理メーカーでは、様々な工夫が自動ラインに組み込まれ水洗を効率よくおこなう方法がとられています。
3.どんな撹拌方法があるのか?
手動ラインや自動ラインで行われている水洗方法を下記にて、ご紹介したいと思います。
・多段水洗
水洗槽を何段にも繰り返し、上流から下流へ水が移動する方式で水洗槽が作られており、多段に繰り返すことで、製品についた薬液を洗い落とします。この方式は、様々な表面処理ラインで使われています。
その中で、水が次の槽へ補給される方式に下記のようなものがあります。
・オーバーフロー
水洗槽の水がいっぱいになると、水が水洗槽の上から溢れ、次の水洗槽へ移動する。
・アンダーフロー
水洗槽の水がいっぱいになると、水が水洗槽の下から溢れ、次の水洗槽へ移動する。
・シャワーリング
水洗槽へ製品が入る際に、水洗槽の上部に設置された配管より水が製品に噴霧され製品を洗浄する方式。
・手作業による揺動
手動ラインにておこなわれる方式で、治具などにラッキングされた製品を治具のまま、水洗槽の中で上下左右に動かすことで、表面に付着した薬液を洗い落とします。単品部品など、製品毎に、洗浄方法を検討しないといけないような場合に有効な方法。
・バレル撹拌
バレルめっきなどでは、製品が入っているバレルが回転することにより、製品および水を撹拌することで、洗浄効率をアップさせる方式。
・バブリング
エアー配管を水洗槽の底に設置し、底部からエアーを入れることで水を撹拌し、洗浄効率を アップさせる方式。 亜鉛めっきのクロメートラインや部品洗浄ラインなどに採用され、バスケットに入った製品の洗浄効率を向上させる。
・超音波
水洗槽の中で超音波を発信し、製品に微振動を与えるとともに、表面に付着した薬液を洗い落とす方式。
ステンレスの化学研磨ラインなどで採用されていることが多いです。
・上下揺動、左右揺動
同形状の製品等を自動で表面処理する際に、エアーシリンダーなどを使い、上下左右に治具を動かすシステム化された方式。個別の製品には対応しにくいため専用ラインなどで有効。
・温水洗浄
温水で洗浄することで、粘度のある薬液などの洗浄効率を向上させるとともに、仕上げ水洗などに利用され、乾燥促進のために製品に温度を加える役割も果たす。
・プロペラ撹拌
表面処理ラインでは見かけませんが、排水処理などで廃液を処理する際に、プロペラを活用して、液中で回転させることで液を撹拌し効率よくかき混ぜます。
・ポンプによる水流撹拌
水流が足らない場合に、ポンプで吸って吐き出すことにより水洗槽の水流をあげ、製品に付着した薬液を洗い落とします。
水洗といっても、このように様々な方法がとられ製品や表面処理の内容によって手動ライン・自動ラインに組み込まれ、効率よく洗浄する方法がとられています。
これらの方法は、水洗槽だけでなく薬液層にも活用され、反応の促進、ばらつきの防止などにも活用されています。
4.動画で解説しています。
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