化成皮膜は、女性が化粧をする際にする化粧下地・ファンデーションのようなものです。
化成皮膜は、アルミニウム金属素材と塗膜の間にあり、相互の機能を最大限に引き出す役目を担います。各種の素材に基礎層・エンドコートを築き、機能層としての塗膜・エピコートを構築します。
表面処理としてのエンドコートは、エピコートを介して、素材と塗膜を融和し、それぞれの界面では独立した層ではない連続的傾斜組成を持ち、耐食性及び密着性を中心とした機能を発揮します。
耐食性 | 塗膜の機能向上と腐食環境下での性能保持 |
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密着性 | 素材界面と塗膜との密着性 |
濡れ性 | 塗工性 |
意匠性 | 外観の向上・塗膜の鮮映性の向上・塗膜の重厚感・暖かさ・柔らかさなどの視覚・触覚の感性向上 |
1.表面・界面はどうなっている?
アルミニウム合金表面は、酸素と反応しやすく、短時間のうちに薄く緻密な酸化皮膜・バリアー層を形成します。一般に、酸化皮膜は塗装密着性が劣り、塗装による防食性を十分に発揮することができません。このため、酸化皮膜生成の抑制と密着性を持つ皮膜が必要となります。
また、塗膜を透した酸素、水分・腐食性イオンなどによる金属酸化物は、密着性を低下させるため、防食性も不可欠となります。
2.密着性はどうしてよくなるの?
界面の密着・接着は、素材・表面処理皮膜の
界面特性:表面性状・租度、表面組成、湿潤、吸着など
塗料特性:粘弾性、内部応力、膨張・収縮・伸び、水・酸素・イオン透過性化などの因子があり
物理的密着性の投錨(とうびょう)効果、並びに化学的結合様式としては、分子間に働く弱い結合層・分子間結合(ファンデルワールス力)、水素結合・化学反応(共有・イオン)、凝縮などがあります。
接着機構は、これらの総合作用により、単一の理論では説明できない部分もあります。
3.皮膜の組成は均一なのか?
結晶性リン酸亜鉛系皮膜は、均一な皮膜組成を示しますが、多くのクロメート系、ジルコニウム系、マンガン系皮膜などは、厚さ方向に傾斜組成構造を示します。
下記の図に示すように、薄い20nm皮膜でも組成が大きく異なり、アルミニウム合金界面のアルミニウム酸化物:Al2O3, AlOF, AlF3などの化合物皮膜は、耐水2次物性を低下させます。この生成は避けにくいですが、できる限り少なくすることが品質の向上に繋がります。
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