亜鉛めっきとは
鉄素材に亜鉛めっきをすると、めっき層で鉄素地に対して外気を遮断して腐食を防ぐだけでな く、ピンホールが生じて素地の極微部分が露出することになっても、亜鉛と鉄の間が陽極的な挙 動をとる為、鉄は変化せず、亜鉛の方が腐食して自己犠牲的に鉄を腐食から守る作用をします。
それゆえに、亜鉛めっきは鉄の防食に極めて効果的なのです。
亜鉛の表面は、空気中で容易に酸化を受けるため光沢のない灰色ですが、腐食によって白色の粉 末を生じたりして外観はあまり良くありません。ですが、三価化成処理により三価クロメート皮 膜(以下、クロメート皮膜と称します。)を施すことによって亜鉛表面の耐食性が増すと共に、 外観も銀白色や青銀色・黒色など美観を付与することもできます。
三価白色クロメート |
三価黒色クロメート |
亜鉛めっきの防食メカニズム
- 亜鉛が先に腐食し、電子(e)を放出する。
- 鉄に発生した電子を供給し、
鉄の電子の放出を妨げ、
防食効果を得る。
(このような状態を局部電池と呼びます。)
白錆発生と赤錆発生
亜鉛めっきされた鉄素材で、白っぽい錆や赤い錆が発生することがあります。これらは、亜鉛の 酸化物・鉄の酸化物になります。詳しくは下記図をご参考にしてください。
亜鉛の錆のことで亜鉛の酸化物
クロメート皮膜の強さにより白錆までの時間が決まります。
このようにクロメート皮膜や亜鉛めっきの厚さにより、耐食性が決まり亜鉛めっきの規格として 自動車メーカー等で指定された皮膜厚・クロメート処理として、めっき加工するのです。
亜鉛めっきの耐食性規格
某自動車メーカーの規格を参考に下記の表にしました。
めっき膜厚 (μm) |
塩水噴霧試験 | |||
発生までの時間(時間以上) | クロメート皮膜種類 | |||
クロメートなし | 白色クロメート | 黒色クロメート | ||
5以上 | 白錆 | ーーー | 72 | |
赤錆 | 48 | 120 | ||
8以上 | 白錆 | ーーー | 72 | |
赤錆 | 96 | 168 | ||
13以上 | 白錆 | ーーー | 72 | |
赤錆 | 144 | 216 | ||
25以上 | 白錆 | ーーー | 72 | |
赤錆 | 240 | 312 |
※塩水噴霧試験は、SST試験とも称されます。
クロメート皮膜で72時間以上白錆に対して防食し、その後に、亜鉛めっきの膜厚で赤錆までの時 間を防食していることが、この規格からも読み取ることができます。
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