先日、『普通アルマイトと硬質アルマイトと何が違うのですか?』とご質問がありました。

簡単に言ってしまえば、硬さが違います。

硬質アルマイトは、酸化皮膜の硬度や耐久性・耐摩耗性を高めるための皮膜で、普通アルマイト皮膜とは特性が異なります。

普通アルマイトと硬質アルマイト

1.普通アルマイトと硬質アルマイトの違い

  普通アルマイト 硬質アルマイト
概要 硫酸浴中で電解処理する一般的な処理。 低温の電解浴中で電解処理されることで厚い皮膜を生成。
色調 無色はシルバー調のアルミ色となる。染色可能。 アルミ素材と指定膜厚により、色調に差があるが、グレーから褐色の皮膜が多い。
皮膜硬さ HV200前後の皮膜が多い。 HV400以上の皮膜を有するが、材質により柔らかいものもある。
膜厚 5~25μmが多く、用途により使い分ける。染色するには、8μm以上は要する。 耐摩耗性、電気絶縁性を確保するには、20~70μmあると良い。場合により、5μm硬質アルマイトの場合もある。
寸法変化 膜厚の1/2が寸法増加方向に成膜する。 膜厚の1/2が寸法増加方向に成膜する。
用途 産業用設備部品・インテリア・光学部品など外観部品に多い。 自動車エンジン部品・浄化槽ポンプ・航空機部品など耐摩耗性を要する部品に多い。

詳しくは硬質アルマイトについて、『JIS H 8603:1999 アルミニウム及びアルミニウム合金の硬質陽極酸化皮膜』に定められる。

2.電解液温の違い

普通アルマイトと硬質アルマイトで大きく工程で異なるのは、液の温度が異なります。
普通アルマイトは、20℃前後で電解することが一般的ですが、硬質アルマイトの場合は、0℃近くまで液温を下げ、電解をおこないます。

液温を下げることで、アルマイト皮膜にある孔の直径が小さくなり、孔と孔の間にある孔璧が厚く生成し皮膜が硬くなります。

アルミニウム陽極酸化モデル図

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3.硬質アルマイトの封孔処理

硬質アルマイト皮膜には、耐食性を要する場合を除いて封孔処理はおこないません。

封孔処理をすることにより、耐摩耗性が低下する傾向にあります。

封孔処理はアルマイト皮膜の細孔を水和反応によって塞ぐ処理で。水和反応によりアルミな皮膜の一部が溶解して水酸化アルミニウムに変化し、細孔内に沈殿します。このとき、孔壁の一部は水和によりその硬さが低下するのですが、空洞であった細孔部は水酸化アルミニウムで満たされて硬さは硬くなります。

封孔処理では、皮膜の硬さが低下させる反応と上昇させる反応が生じるですが、アルマイト皮膜は、いくつかの相が混在しるアルミニウム材が酸化されてできる皮膜なので硬さと耐摩耗性とは一定の相関関係は持たないのです。
引用:アルミニウム表面技術 一般社団法人表面技術協会・ライトメタル表面技術部会

皮膜硬さと耐摩耗性の関係

4.普通アルマイトの封孔処理

アルマイト皮膜の細孔を塞ぎつつ科学的に不活性な状態にします。それにより、耐食性の向上・汚染防止・染料の定着をおこないます。

封孔処理されていない皮膜は、ねちゃねちゃと吸着するような触感で皮膜を素手で触ると指紋が残ってしまい、簡単には落ちなくなります。

この物理吸着性と化学吸着性を利用して、カラーアルマイトの染色がおこなわれています。

普通アルマイトと硬質アルマイトでは、使用用途も違うため皮膜性能に違いがあり、耐摩耗性や硬さを要する場合に、硬質アルマイトが用いられています。

このほか、装飾目的・カラーリングなどの場合は普通アルマイトを用いて染色をおこないカラフルなアルマイト皮膜が選ばれています。

5.動画で解説しています。


 

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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者
危険物取扱者乙種4類