Youtubeのコメント欄に、
動画の主旨と違いますが、 『溶融亜鉛メッキの特徴、利点、名前の由来など教えてください。』とコメントをいただきましたので、弊社のおこなっている、メッキやアルマイトの分野とは違いますが、溶融亜鉛メッキについてご紹介したいと思います。
まず、弊社のおこなっている電気亜鉛メッキと溶融亜鉛メッキの違いですが、
・電気亜鉛メッキは、電流を使って亜鉛イオンを電子と結びつけて、金属を析出させるメッキ方法です。
・溶融亜鉛メッキは、高温で溶かした亜鉛の中に製品を漬けて引き上げるというメッキ方法です。
1.溶融亜鉛メッキの呼び方
電気めっきの分野では、メッキの種類が違っても電気を流してメッキすることには変わりません。
ですが、溶融亜鉛メッキの場合は、電気亜鉛メッキと違い、電気を製品に流さず、亜鉛を高温で溶かして液状にし、その中に製品を漬けるという方法でメッキする方法です。
ちょうど、天ぷら粉に、エビを漬けて衣をつけるようなイメージです。
そのため、天ぷらメッキとも呼ばれたり、溶融亜鉛の層を『どぶ』にたとえ、どぶ漬けメッキ、どぶメッキとも言われます。
※どぶとは・・排水のために設けたみぞなどで、汚れた水がとかく淀みがちな小さい流れ。という意味です。
溶融とは、物が熱をうけて液体になることを言い、溶融亜鉛ということは、亜鉛が熱をうけて液状になることを意味します。
亜鉛の融点は420℃ですので、460℃前後まで熱しられメッキされます。
2.溶融亜鉛メッキの特徴
溶融亜鉛めっきは、溶かした亜鉛に鋼材をひたし、亜鉛皮膜を形成する技術です。
電気メッキと違って亜鉛と鉄との合金層により金属結合しています。
鉄素地と亜鉛が反応してできた合金属は純亜鉛層に覆われていますが、亜鉛はさらに大気に触れると酸素と反応して酸化亜鉛となります。また、炭酸ガスと反応して塩基性炭酸亜鉛の薄い皮膜を形成します。
これらの皮膜は緻密で密着性に優れているため、外部の腐食環境から錆を遮断する防食皮膜の役割を果たします。
亜鉛表面が破壊された場合には、イオン化傾向が大きい亜鉛が溶け出して鉄素地を守り錆を防ぎます。
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3.溶融亜鉛メッキの用途
溶融亜鉛メッキの用途を、いくつかご紹介したいと思います。
送電用鉄塔
溶融亜鉛メッキの一番の代表例として挙げらることが多いのが送電用鉄塔になります。送電用鉄塔の腐食を防ぐのに、溶融亜鉛メッキが採用されている場合が多いです。
鋼構造物
溶融亜鉛メッキは、鉄鋼の防錆・防食に優れた性質をそなえ、耐久性の向上、経済性、環境調和等に欠かせない役割を果たします。
温室や牛舎
温度・湿度が高い温室や、牛舎の柱・梁に使用されています。
室内プール 屋内プール等に用いられています。長年経過したプールでもほとんど劣化がありません。
道路の様々な柱・レールなど
防音壁支柱、ガードレール、標識柱、照明柱など道路に欠かせない物が、その耐久性を保つために溶融亜鉛メッキ製品が使われている場合が多いです。
橋梁
跨線橋など各種の橋梁が亜鉛メッキにより保護されています。
土木
海岸近くなど、塩水によって腐食環境の厳しい環境における鉄筋コンクリート工事において、溶融亜鉛メッキ鉄筋が使用されています。
架線金物
電力鉄塔などに使用される架線金物やボルト・ナットなどの小物部品に溶融亜鉛メッキがされています。
太陽光発電・風力発電
発電装置架台に溶融亜鉛メッキが使われています。
亜鉛めっき上に塗装
景観上色彩が要求される場所や、腐食環境が特に厳しいところでは、亜鉛メッキ上に塗装して使用することも可能です。
4.溶融亜鉛メッキの利点・欠点
利点:
・環境条件が良好であれば数十年に渡る防食効果が期待できる
・亜鉛の表面に生じる生成物により、すぐれた耐食性をもっている。この性質は一般大気中の他、水中・土中・コンクリート中においても発揮されます。
・剥離しにくい
メッキ皮膜としては鉄と亜鉛の合金層ができるために、鉄素地との密着性が非常に強くなり、通常の取り扱い状態では衝撃や摩擦などによって剥離することがありません。
・犠牲防食作用がある。
もし引っかき傷などにより亜鉛皮膜がはげて鉄が一部露出したとしても、周囲の亜鉛が露出部を保護する作用をもっています
・大物から小物まで、めっきが可能
くぎ・ビス類のような小さな製品から、船舶等、トンサイズの大きな製品まで、メッキ槽に浸漬できる鉄製品であればすべてメッキ可能です。電気メッキでは、メッキすることが難しい、配管の内面などのような部分でも、溶けた亜鉛が出入りすることができればメッキすることが可能です。
欠点:
・複雑な構造の製品には、湯抜き穴やガス抜き穴が必要
溶融亜鉛メッキは部材のすべての面に亜鉛皮膜を作ることが特長ですが、
構造によっては亜鉛やガスのたまりができますので
設計時より湯抜き穴、ガス抜き穴が必要となります。
・環境により耐用年数が左右される。
海水飛沫地域のような、いちじるしい塩害地域や重工業地帯では、
寿命が短くなるので、塗装の併用が必要です。
・精密なボルトやナットなどの場合、タップが亜鉛で埋まってしまう場合があります。
5.動画で解説しています。
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