アルマイトの前処理の一つで、エッチングという工程があり、最も一般的な工程がアルカリエッチングです。
アルミニウムは両性金属と言って、酸にもアルカリにも溶解する金属でアルカリの方が激しく反応します。
1.エッチングの目的
アルミニウムをアルマイトするにあたり、均一に良質な表面を得るためには、素材となるアルミニウム表面が清浄かつ活性で均一な必要があります。
素材表面が不均一だとアルマイト後の表面にバラツキを生じることになります。
エッチングによる作用は、
- 表面の微細なキズの除去
- 表面の酸化膜除去
- 表面の汚染物除去
- 表面の油脂分除去
- 表面の埋め込み物の除去
などがあります。
2.アルカリエッチングの効果
1.エッチングの目的で紹介した5つの項目について説明していきたいと思います。
- 表面の微細なキズの除去
アルカリエッチングで、アルミニウム表面を溶解させることで、微細なキズを除去します。 - 表面の酸化膜除去
アルミニムを溶解させるとともに、表面の酸化膜を除去します。 - 表面の汚染物除去
表面の汚染物(溶接フラックス・バフカスなど)をアルミニウムを溶解させるとともに除去し
ます。アルミニウムとアルカリとの反応による水素ガスの発生は、発泡し汚染物除去に効果的で
す。 - 表面の油脂分除去
アルミニウム表面に付着している油脂は、アルカリとの鹸化反応により親水性になり、水中に分
散します。 - 表面の埋め込み物の除去
ブラスト処理したアルミニムには、ブラストメディアなどが突き刺さり埋め込まれています。ア
ルミニムを溶解させるとともに除去します。
これらの効果を得るために、アルカリエッチングはアルマイトの前処理として必要不可欠な工程となっています。
3.アルカリエッチングによるムラ
アルカリエッチングは、アルミニム表面の汚れや油脂類を除去しますが、アルミニウム表面の汚れや油脂の付着にバラツキがあると、アルカリエッチングの液がアルミニウムに到達するまでに要する時間に差異が生じ、アルミニウムを溶解させる度合いに差が発生します。
それを防止するために、アルカリエッチング前に脱脂処理として中性域のアルミニウム用脱脂剤にて、油分をできる限り除去し、均一な状態にしておく必要があります。
溶接フラックスや、熱処理による酸化膜など厚みにムラがあるとエッチング後の状態に影響を及ぼしますので、アルカリエッチング前に酸化皮膜溶解の工程を行う場合もあります。
4.アルカリエッチング液
弊社でアルカリエッチングに用いている薬液は、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を主成分として使用しています。
水酸化ナトリウム単体では、アルミニウムと反応した水酸化アルミがエッチングタンク底に沈殿し固まってしまいますので、防止剤として、グルコン酸ナトリウムを添加して使用しています。
5.動画で解説しています。
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