先日、お客様から
『アルマイト工程は、どんな工程なのか知りたい』と相談がありました。
アルマイト工程を簡単に、工程で表すと、前処理・陽極酸化処理・後処理と呼ばれる工程に分類されます。
工程だけ聞いても、どんな処理をしているのか?わからないと思いますのでご紹介したいと思います。
1.前処理
前処理には、脱脂処理・エッチング・脱スマット・化学研磨・化学梨地などがあります。
1)脱脂処理
脱脂処理は、アルミニウムを押し出し・圧延・機械加工・鋳造などの工程をおこなわれる際に付着した油の除去をする工程となります。
2)エッチング
エッチングは、アルミニウム表面の自然酸化皮膜や付着した頑固な油を除去する工程で、水酸化ナトリウムを用いてアルミニウムを溶解させると同時に、これらを除去するための工程になります。
3)脱スマット
脱スマットは、アルミニウム合金に含有するアルミニウム以外の金属が、エッチング工程でアルミニウムを除去した際に、アルミニウム表面に析出します。その析出した金属(スマット)を硝酸で溶解させ除去する工程になります。
4)化学研磨
化学研磨は、アルミニウム表面を溶解させ平滑な表面とし光沢度を向上させる工程になります。
材質により、光沢が出る、出ない材質がありますので注意が必要です。
5)化学梨地
化学梨地は、アルミニウム表面を溶解させながら、微細な凹凸を有する表面にし、梨地調の外観にする工程になります。
材質により、梨地の度合いに差があります。
これらの各工程の間には、水洗工程をもうけ、水洗を行ない各処理液を水洗で洗い落としてから、次の工程へと進むようになっています。
2.陽極酸化
アルミニウムの陽極酸化工程は、『1.前処理』で紹介した工程を済んだアルミニウム合金を陽極として、電解液中で電解することで陽極酸化皮膜を得る工程になります。
陽極酸化工程には、一般的なアルマイト・2次電解・3次電解なども含まれ、2次、3次電解はアルマイト皮膜を生成させた後に、電解処理を与え、アルマイト皮膜の多孔質の穴に、金属を電解により入れ、着色する工程になります。
1)アルマイト皮膜を得るための液組成と条件
一般的なアルマイト皮膜を得るための液組成と条件は下記のようになります。
硫酸濃度 | 13~17wt/V% |
液温 | 18~23℃ |
溶存アルミニウム | 20g/L以下 |
電流密度 | 0.6~1.5A/d㎡ |
時間 | 30~45分 |
硬質皮膜を得る場合は、液温を0~5℃程度まで下げることで硬い皮膜が得られる。
2)アルマイト皮膜の厚さの計算方法
アルマイト皮膜の生成させる皮膜厚さは、下記の計算式で計算できます。
0.3(定数)×電流密度(A/d㎡)×時間(分)=皮膜厚さ(μm)
9μmの皮膜を得たい場合は、
0.3×1(A/d㎡)× 30(分)= 9μm
となります。
3.後処理
後処理には、染色・封孔処理・電着塗装などがあります。
1)染色
染色は、アルマイト皮膜の多孔質の穴に染料を入れることで着色する工程です。
2)封孔処理
封孔処理は、アルマイト皮膜の多孔質層の孔を封じることを言い、染料の色抜けを抑制するとともに、耐食性を向上させる役割があります。
封孔処理の種類には、沸騰水封孔・酢酸ニッケル封孔・加圧蒸気封孔があります。
3)電着塗装
電着塗装は、アルマイト後に水溶性塗料の中で電気化学的に塗料を凝着させる工程になります。
電着塗装する場合は、上記の封孔処理はおこないません。
4.動画で解説しています。
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