単品製品をサンドブラストする際に、大きなものは手で持ってサンドブラストを投射することができますが、小さな部品の場合、持って投射することが難しい場合があります。

小さすぎて持っていてもエアーの圧力で吹き飛ばされてしまうこともあります。
そんな時、治具に取り付けて持ちやすくして、サンドブラストを投射していますので、今回、どんな風に取り付けてサンドブラストを投射しているのかをご紹介していきたいと思います。

今回、ご紹介する製品は下記の部品になります。

こちらの製品にサンドブラストを投射しやすいように簡易治具を作成し、サンドブラストしていきます。

1.パイプ状の製品

パイプ状で小さな部品の場合、アルミの丸棒にパイプを差し込みサンドブラストを投射しています。
アルミの丸棒でなくても、樹脂でもステンレスでも問題ありませんがサンドブラスト中に製品が動きますので製品と同じ材質のアルミを使用してキズが付きにくいようにしています。

アルミの丸棒の部分を持って、アルミ製のパイプにサンドブラストを投射すると、丸棒とパイプには隙間が十分にあるため、投射圧力でパイプが回転します。そのため、パイプを動かさなくても全体に均一にサンドブラストを投射することができます。

ただし、パイプの内面入り口付近にはサンドブラストが当たりますが、中心部にまではサンドブラストを施すことは難しいです。
無理に内面にサンドブラストを投射しようとすると、パイプの端面部分にサンドブラストが強く当たりすぎ、端面がタレて変形してしまうこともありますので注意が必要です。

内面を梨地加工したい場合には、化学梨地がオススメです。

前処理の違いによる白色アルマイト外観の色調

2.ワッシャー状の製品

ワッシャー状の製品の投射の際に、薄くて持ちにくいのでパイプ形状の時と同じようにアルミの丸棒に差し込んでサンドブラストを投射します。
この時もアルミの丸棒とワッシャーの穴に余裕があるため、サンドブラストを投射すると回転し、全体に満遍なくサンドブラストを投射できます。
ワッシャーは非常に小さいため、Uの字型にアルミの丸棒を曲げておいて、ワッシャーが投射圧力で飛んでいかないようにしておくことが必要です。

1枚だけのワッシャーではなく、ワッシャーがたくさんある場合などは、回転させながらサンドブラストを投射する方法もありますので、下記の動画でご紹介していますのでご参考にしてください。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.板状の穴あき製品

板状の製品で穴が空いている場合、アルミの丸棒をV字型に曲げて穴の中に差し込み、丸棒の部分を持つような形でサンドブラストを投射する場合もあります。

アルミの丸棒で製品が固定されているため、ザグリ穴部分に奥まで差し込んでしまうとザグリ穴内面にサンドブラストが施せなくなってしまいますので、できるだけ浅く差し込むようにします。

また、サンドブラストを投射する際に、アルミの丸棒が盾となりサンドブラストのメディアが製品に当たりにくくならないように気をつけながら投射する必要があります。

4.タップ穴のある製品

タップ穴のある製品での場合、長めのボルトをタップにねじ込んで治具として使うことがあります。
ボルトが短すぎると持ちにくいので、長めのボルトを使用する方が扱いやすいです。

このようにボルトをねじ込んでサンドブラストすると、ボルトのねじ込んだ部分にはサンドブラストのメディアが当たらないため、製品のタップを傷めることもないため有効な手段だと思います。

では、どんな感じにタップ部分がなるのか!?ですが、
下記の写真のようになります。

タップ入口までは、サンドブラストが当たっていますが、タップの中にはサンドブラストがされていない状態になります。

ここで一つ気をつけないといけない点が、先ほどの『板状の穴あき製品』でも書いたように、ボルトが盾となりサンドブラストのメディアが当たらないように影を作ってしまうと、ブラストのムラが出てしまいますので、ご注意ください。

このように簡易的な治具を作成し、サンドブラストを投射することで小さな単品製品でも比較的早く簡単に、梨地面を作ることができます。

また、何か良いアイデアが浮かびましたらご紹介したいと思います。

5.動画で解説しています。


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サンドブラスト後にアルマイトしたら表面にムラが発生してしまった

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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者
危険物取扱者乙種4類