以前にご相談のあった案件なのですが、クラウドファンディングでコーヒードリッパーを作成されているお客様より、赤色アルマイトのご相談がありました。

アルミニウムの塊から、こだわりのコーヒードリッパー を切削で削り出し、アルマイト加工をして販売するというモノでした。

こだわって作られているだけに、アルマイトの色調にもこだわりがあり、赤色と言っても何種類かの赤色の中から1色選択し、その1色の中からさらに彩度の調整もご希望がありました。

ここまでこだわるお客様は珍しいのですが、細かな調整が必要なため、
何度も色調のテストを実施し、色調の調整等をおこないました。

1.希望の赤色を探す

アルマイト用染料の中で赤色と言っても、弊社で取り扱い可能な赤色だけで9色あります。

この9色の中から、

  • 希望の色調がどれなのか?
  • 希望の色調の中から彩度は、どれぐらいの彩度なのか?

を決め、色を決めていきます。

この際に、切削目および切削仕上がり表面の状態によっても彩度に変化が出てしまうため、その辺りも含めて打ち合わせをしていきます。

2.試作サンプルの作成

希望の赤色が見つかり、彩度も決まったので、試作をおこないます。
ですが、この試作の際に切削状態とアルミニウム素材の影響による色調・彩度の違いを防ぐため、製品を何個にも切断し、その切断した製品の破片を使用してサンプルの作成をおこないます。

ここで違う材料や、違う表面状態のものでおこなってしまうと再現性がなくなってしまうため、非常に重要なポイントとなります。

今回選択された赤色の染料を建浴し、サンプルの作成をおこなうのですが染色時間を何度も確認しながら、染色時間を決めていきます。

どのように確認するかというと、最初に1分程度染色し、色見本と彩度を照合。
その後に、10秒染色後、彩度を照合。
というように、少し染色しては色を照合するといった感じで、染色の彩度を合わせていきます。

染色の段階で、色調、彩度が色見本と同じになったとしても、問題は染色工程の次の封孔処理の工程です。

封孔処理をおこなう段階で、封孔処理によって染料が若干ですが抜けてしまうのです。
この染料の抜け具合も、考慮して染色をしておかなければ完成した際に、色見本と色調・彩度が違う状態になってしまいます。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.製品を実際に赤色アルマイト加工

色調と彩度の条件が整ったら、実際に製品をアルマイト加工します。
この時、試作段階とアルマイト条件から、一緒にしておかなければ色調に違いが出てしまいます。

以前の記事でもご紹介しましたが、アルマイトは多孔質皮膜であり無数の穴が皮膜に空いています。

アルマイトは、なぜ封孔処理するのか!?


その穴の中に染料を入れることでアルマイト皮膜が染まるため、穴の深さ・直径を試作段階と同じにしておかなければ染色の濃さなども変わってしまうのです。

もちろん、染料の濃度・時間・温度も同じでなければなりません。
試作段階と同じ条件で、染色し、自動搬送されるところが下記の写真になります。

完成品になった時の色調よりも少しだけ濃いめに染色し、封孔処理をおこないます。
そうすることで、封孔処理で色が抜け、希望の色調に仕上がるわけです。

4.完成品

封孔処理・乾燥が完了し、取り外す直前が下記の写真になります。
まだ、チタン製の治具に取り付けられた状態になっています。

染色直後の、写真と比べて少しだけ色が薄くなっているのがわかるでしょうか?
ほんの僅かな差なのですが、この違いが大切な製品のため、最新の注意を払ってアルマイト加工をおこなう必要がありました。

完成した製品が、こちらになります。

アルマイト用の接点は、コーヒーをドリップする穴の中で取っているため、外観からは接点はほと
んどわからないようにしてあります。

購入された方が、このドリッパーで美味しいコーヒーを楽しんでいただけたらと思います。

5.動画で解説しています。


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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者
危険物取扱者乙種4類