アルマイト加工される製品は、アルマイト皮膜を生成させる電解後に、染色したり封孔処理したりします。

封孔処理は、染料の色抜けやアルマイト皮膜の耐食性向上のために、おこなう処理でとても重要な処理になるのですが、
見た目では、封孔処理が確実にされているのか判断がつきません。

アルマイト加工されているかは表面処理業者の私達が見れば、ほとんど判断できるのですが、封孔処理だけは見た目だけでは判断できないのです。

出来上がったばかりの時は、封孔処理されていなければネチャネチャとした吸着するような表面状態なのでわかるのですが、時間の経過と共に、そのネチャネチャ感は無くなってしまうのです。

封孔処理がされていると、サラッとした表面でネチャネチャ感はありません。
では、そのわかりにくい封孔処理が確実にされているか簡単に確認する方法をご紹介したいと思います。

1.事前に準備していただくもの

まず、確認するにあたり用意していただくものが、4つあります。

  • アルマイト加工済み品
  • ティッシュペーパーまたはウエス
  • 油性マジック
  • シンナー

用意するもの

用意するもの

これらを用意していただきます。
今回はこのブログ記事を書くために、アルマイト済み品を下記の2通り準備しました。

  • アルマイト加工済み封孔処理有り品(左)
  • アルマイト加工済み封孔処理無し品(右)

アルマイト済み品

準備できましたら、さっそく説明に入ります。

2.油性マジックでアルマイト加工品に塗る

アルマイト加工済み品に先ほど用意したマジックで線でも文字でも良いので書き込んでください。

マジック塗布
マジック塗布

マジック塗布拡大

そのまま、しばらくインクが確実に乾くまで放置しておきます。

乾燥している間に封孔処理について次の項で説明します。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.封孔処理について

アルミニウムをアルマイト加工すると、アルミニウム表面が多孔質な皮膜に覆われます。
多孔質であることから、微細な穴が空いているわけです。その穴の中に染料などが入って染色されます。

アルマイト皮膜を拡大したモデル図を下記にご紹介します。

アルミニウム陽極酸化モデル図

封孔処理は、その微細孔の入り口をとじる作用をします。

なんとなく想像できますか?

いわゆる軽石のような表面になっていて穴が、たくさん空いているのでその中に染料を入れるのですが、アルマイト皮膜は透明なため、染料の色が透けて見えるためカラーアルマイトが可能なのです。

今回は、その多孔質な皮膜の穴の中にマジックのインクを入れて封孔処理がされているのか?を確認します。

4.ここからの作業の際の注意事項

シンナーを使って作業をしますので、窓を開けて換気の良い状態で作業してください。
また、シンナーは引火する場合もありますので、火気厳禁にて作業してください。

5.塗ったマジックを拭き取る

封孔処理がされているアルマイト加工品の方をティッシュペーパーか、ウエスにシンナーを染み込ませて塗ったマジックを拭いて消してみます。

マジックのインクが除去できたと思います。

では、次に封孔処理がされていないアルマイト加工品の方をシンナーを染み込ませたティッシュペーパーで塗ったマジックを拭いて消してみます。

マジックのインクが残っています。

これは、封孔処理がされていないため、アルマイト皮膜の多孔質の穴にマジックのインクが入り込んで、シンナーを染み込ませたティッシュペーパーでは拭き取れたいためにマジックのインクが残ってしまっているのです。

シンナー拭き取り
シンナー拭き取り

シンナー拭き取り拡大
シンナー拭き取り拡大

このようにマジックとシンナーを使って封孔処理が確実にされているかを判断することができます。

封孔処理のされている程度により、マジックの残り具合も違ってきますので、気になった場合は試してみるのも良いかと思います。

6.動画で解説しています。


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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者
危険物取扱者乙種4類