穴の空いていないブロック形状の製品をアルミ製の針金で縛りアルマイトする記事を前回の記事で書きましたが、
今回は、板状の板金製品をラッキングしてアルマイトした事例をご紹介しいきます。
この製品は、お客様からの依頼品ではなく、社内で使用するパソコンのモニター台なので、穴は空いていないのでアルミ製の針金で縛り、硬質アルマイトを施します。
1.ラッキング
アルミ製の針金を板状の製品に巻きつけるように縛り、治具にラッキングします。
この時、平面部には針金が触れないようにしてエッヂ部だけで接点を取っています。エッヂ部であれば、接点部分も比較的小さくできるため穴がない場合には有効なラッキング方法になります。
縛り上げた場合、アルミ製の針金で縛っているので完全に固定ができているわけでもないので、上下に引っ張り上げるようにして、完全固定します。
このラッキング方法では、製品上側のアルミの針金が上側のブスバーと呼ばれる、給電用のバーから電気が流れてきます。下の針金にアルミ製のS字フックをひっかえて輪ゴムで下にひっぱり下げるようにラッキングして固定してあります。
2.アルマイトラインで前処理
ラッキングが終わった製品を、アルマイトラインへ投入し前処理を進めていきます。
脱脂→エッチング(写真)→脱スマットと進めていきます。
板金加工した際に、アルミ表面を保護している保護シールの粘着剤はアルマイトの前処理では除去できないので、事前にシンナーで拭き取り粘着剤を除去しておきます。
今回の製品は、弊社で使う物なので弊社でシンナーで拭き取りをおこないましたが、通常は弊社の方で拭き取りなどはしていませんので、お客様側で除去していただくようにしています。
なぜ、保護シールをお客様側で剥離して、シンナーで拭き取っていただいているかと言うと、保護シールを剥がした際に、素材にキズがある場合があるからです。
そのキズが、OKなのか?NGなのか?は弊社では判断できないので、お客様側で確認してもらうためでもあるのです。
脱スマットが完了したら、水でしっかりと表面を洗い、アルマイト工程へと進んでいきます。
3.アルマイト電解
アルマイト槽に入ったら、電流を流していきます。液温を零℃まで通常は下げておこなうのですが、今回の硬質アルマイトは封孔処理もかけたいため、10℃まで液温を下げて硬質アルマイトをおこないます。多少の硬さは犠牲にして、耐食性の確保や汚れが付着しにくくするためです。
硬さ重視の場合は、零℃でアルマイトをおこなう方が硬さを確保できますが、今回のように硬さは傷つき防止だけの用途で、パソコンのモニター台となると汚れの付着なども考えられますので、封孔処理を要するのです。
封孔処理を施すと汚れが付着しにくくなるのは、アルマイト皮膜は無数の小さな穴が空いており、封孔処理でその無数の穴の入り口を閉じるのですが、硬質アルマイトの場合は、硬さを保持するため、封孔処理をおこなわない場合があります。封孔処理をおこなうと、皮膜硬度が若干落ちてしまう調査結果が文献などにも掲載されています。
硬度を犠牲にしても、耐食性や耐汚染性を求める場合は、封孔処理をおこなうことをオススメします。
4.完成品
治具から取り外し、完成したアルミ製のパソコンモニター台が、こちらになります。
このモニター台に載せるパソコンモニターがiMacのため、シルバー調に仕上げたかったのでアルマイト皮膜も10ミクロンにしてあります。
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