よくあるのですが、『少量のボルト(数百本)なのですが、バレルで亜鉛めっきできますか?』と、ご質問をいただく事があります。

できないわけではないのですが、割高にはなります。
めっき業者毎にバレルの大きさが違うのですが、弊社の場合は1バレルおよそ20kg前後を1バレルに投入します。

そのため、数百本の場合・・・何か他の製品と混合して、めっきすることになります。

1.なぜ混合するのか!?

なぜ、混合するののか?と言うと、電気めっきをおこなうには、めっきされる製品のボルトに電気を流しながら、亜鉛金属を析出しなければなりません。

そのため、製品の量が少ないとリード線と呼ばれる電気を流すためのケーブルから、製品に電気が流せないのです。

そこで、製品の量をかさ増しするために他の製品と混合して、めっきする方法を取る事が多いのです。

2.バレルの構造で量が少ないと

バレルめっきに使用するバレルの構造を、下記の図に示します。

バレルの構造

この図のように、マイナスの電気がリード線を通じて製品に電気を流します。

それにより、プラスの亜鉛金属が、製品に析出する構造になっており、製品となるボルトに電気が流れないと、めっきは析出しないのです。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.異品混入を防止するため、テストピースを使う。

他の製品と混合して、電気を製品に流せるようにするのですが、ここで一つ問題となるのが混ぜた製品同士を選別しないといけないのですが、人による手作業となり選別漏れなどによる異品混入が発生する可能性があります。

自動車部品などをめっきしている場合、異品混入は非常に問題となる不具合です。

そこで弊社では、これを防止するために混合させる相手物を製品ではなく、テストピースを使用して異品混入を防止するようにしています。

テストピース事例

板状 テストピース
板状テストピース

鉄球 テストピース
鉄球テストピース

これらのようなテストピースを使用して混合して、めっきします。

混合製品

4.めっき膜厚測定

他の製品やテストピースと混合してめっきした場合、めっきの厚さが安定しているかの確認も含めて、膜厚測定もおこないます。

テストピースの方が、製品よりも大きいとテストピースの方にめっきがつきやすく、製品の方がテストピースよりも大きいと、製品にめっきがつきやすくなります。

混合した場合、大きいものの方に、めっきがつきやすい傾向となり、膜厚が確保されにくくなるため、その辺も考慮して作業する必要があります。

バレル電気めっきの場合、ある程度の量が必要となると言われる事があるかと思いますが、これらの事が要因となり、ある程度の量が必要とされているわけです。

無電解ニッケルめっきなどの場合は、電気を流さず化学的にめっきをしているため、少量の場合でも、カゴなどに入れて、めっきする事が可能になります。

5.動画で解説しています。


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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者
危険物取扱者乙種4類