お客様より、『公差穴(φ6H7)の面取りを忘れたのですが、マスキングして再アルマイトできますか?』と、ご相談がありました。
アルマイト前に面取りをしていなかったとのことで、追加工したので面取り部分だけアルマイト皮膜が無い状態になってしまっています。
この場合、電気を流す接点をとる場所もなく、剥離して再アルマイトすることになるのですが、公差穴でもあるため、剥離すると公差から外れてしまうのです。
そこで、マスキングしてアルマイトすることに。
1.シリコンゴムでマスキング
公差穴であるΦ6H7に、円錐状のシリコンゴムを差し込み、液に触れないようにします。
こうすることで、今現在施されているアルマイト皮膜を剥離する際にも、公差穴が拡大してしまうことを防ぐことができます。
2.マスキングした状態で、苛性ソーダでアルマイト皮膜を剥離
シリコンゴムを公差穴に差し込んだ状態で、苛性ソーダでアルマイト皮膜を溶解させ、素地の状態にし、接点を確保し再アルマイト可能な状態にします。
この時、既に施されているアルマイト皮膜の厚み以上に製品を溶かす必要があるため、通常、穴は拡大してしまいます。今回、マスキングした穴以外は一般公差であり問題はないため、このまま再加工します。
3.アルマイト工程
マスキングしたまま、アルマイト皮膜を剥離した製品をラッキングして、再度アルマイトラインへ入れます。すぐに再加工する場合は、既に表面は活性化された状態になっているため、前処理はしなくても大丈夫ですが、乾燥して保管などした場合は、再度、脱脂処理→エッチング→脱スマット→アルマイトと作業を進めていきます。
アルミニウムは、自然酸化膜を自己生成してしまうため、保管などした場合は、その皮膜の除去が必要になるからです。
アルマイト工程を完了して、完成したものが下記の写真になります。
穴の面取り部分も、にじみなどはなく、問題ない状態です。
マスキングゴムを外してみると、下記の写真のようにアルマイトが仕上がっています。
お客様に確認していただき、問題ないとのことなので、引き渡し完了になりました。
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