『アルマイトを剥離したいのですが?』とご相談される事があります。
以前にも、ご紹介した記事がありますが、今回はもう少し詳しくご紹介したいと思います。

アルマイトを剥離する方法はどんなのがあるの?

アルマイトを剥離するには、化学的に剥離する方法・物理的に剥離する方法がありますが、化学的に剥離する方法が用いられる事が多いです。
化学的に剥離する方法は複雑な形状の製品も剥離が可能で、製品の変形が少ないです。
短所としては、剥離液が劣化してきた際には、皮膜の溶解速度の低下が大きく、廃液の処理も必要となります。
また、アルマイト皮膜の剥離を繰り返しおこなうと、面荒れや外観ムラを生じてしまいます。

1.苛性ソーダを使用して剥離

アルマイト皮膜は、苛性ソーダ溶液を50℃ぐらいに加温して浸漬することで剥離が可能です。
複雑な形状でも、苛性ソーダ溶液にアルマイト皮膜が触れることができれば剥離は進んでいきます。
アルマイト作業をおこなっている現場では、この方法が一番容易に用いられる方法で、アルマイトを行う際に使うアルミ製の針金などは、一度使うとアルマイト皮膜が生成して、そのままでは使えないので、苛性ソーダ溶液に浸漬して、剥離し再度利用しますので、弊社でも頻繁に剥離作業をおこないます。

以前にもご紹介していますが、
アルマイト皮膜はアルミニウム素材に浸透するように皮膜が生成していますので、アルマイト皮膜を剥離するたびにアルミニウム素材も痩せていきます。

そのため、針金等であれば問題はありませんが、製品となると寸法公差のある製品などでは、公差ハズレなどが発生します。

寸法公差のある製品で、どうしても剥離しないといけないという場合、マスキングが可能な部分であれば、マスキングをしてアルマイト皮膜を剥離し、マスキングをしたままの状態で再度アルマイトを施す場合もあります。

また、皮膜の剥離を繰り返すほど、素材が荒れてきますので、素材の表面状態はだんだんと悪化していくことになります。

鋳造品などでは、一度でもアルマイト皮膜を剥離すると、素材の荒れは激しく出てしまいます。

2.サンドブラストを使用して剥離

アルマイト皮膜を剥離する際に、使うのがサンドブラストです。
アルマイトの再加工のための剥離よりも、塗装をしたり腐食痕が激しくでている場合などに利用されます。
サンドブラストをすることで表面は梨地面になり、艶が消えたような状態になります。

サンドブラストでは、細かい穴の中などのアルマイト皮膜の除去は困難なため、
再アルマイトを要する場合には、再度苛性ソーダ溶液に浸漬して、細かい穴の中などのアルマイト皮膜を剥離する必要があります。

塗装下地として利用する場合には、梨地面は塗膜の密着性を向上させるためのアンカー効果を得られるため、効果的な剥離方法ではあります。

サンドブラストの投射剤にも種類があり、投射剤の種類によって、梨地の状態が変わってきますし、硬い投射材料などでは、アルミニウム表面に投射剤が突き刺さり表面に残留する場合があります。

突き刺さった投射剤は、エアーブローや水洗いなどでは除去できません。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.切削加工で部分的に剥離

アルマイト加工した製品を切削加工する場合は、いくつか考えられることがあります。

事例として3つあげてみます。

・アルマイト後にキズをつけてしまった。
・アルマイトした製品にアースを取るための皮膜のない部分が必要
・特殊な場合では、1つの製品を2色のアルマイトにしたい

などがあるかと思いますが、

・アルマイト後にキズをつけてしまった
この場合に、キズの部分だけを切削して綺麗にして、
部分的にアルマイトして欲しい・・・とご相談されることもあります。
この場合、ほとんどのアルマイト業者で断られるかと思います。

通電させるための、接点が取れないためアルマイト皮膜を全て剥離してからでないと再アルマイトできませんと言われるのが多いようです。

弊社では部分アルマイトしている事例もありますので、こちらにリンクを貼っておきますので、ご参考にしてください。

黒色アルマイトをした製品に打痕があったので一部切削した のですが、部分的に黒色アルマイトできませんか?とご相談が・・・

・アルマイトした製品にアースを取るための皮膜のない部分が必要
アルマイトした製品にアースをとるため、部分切削もよくあります。

マスキングを求められることもありますが、後で削った方が手間はかかりますが、仕上がりが綺麗に仕上がります。

マスキングした部分は、ほとんどが、にじんだりして綺麗には仕上がらないです。

使われている用途としては、設備部品などで、このような仕様を見ることがあります。

・1つの製品を2色のアルマイトにしたい
・1つのアルミニウム製品に2色のアルマイトを施したい場合も、切削で削ります。
以前にご依頼を頂いたことがある事例では、アルミの板に緑色のアルマイトを施しておき、部分的にアルマイトを切削で除去します。その後にアルマイトをするという事例です。


この事例は、会社の表札看板となるものをアルミで作成するということで、アルミの板の状態で緑色のアルマイトを施し、社名となる部分は緑色の文字として残したいということで、不要な部分をマシニングで切削し皮膜と素材を削り込んでいただき、削った部分にも腐食防止として、無色のアルマイトを施しています。

違う色をアルマイトする場合もありますし、
同じ色で再度アルマイトを施し
後加工した形跡が無いように再加工する場合もあります。

こちらの事例も記事でご紹介していますので、下記にリンクを貼っておきますので、ご参考にしてください。

アルミニウム製の看板をアルマイト加工で作りたい

4.動画で解説しています。


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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者