アルミニウムは、酸素との化学親和性が非常に強いため、酸化アルミニウムになりやすく、空気中にアルミニウムを放置するだけでもアルミニウムの表面には10Å(1Åは10-8cm)程度の薄い酸化皮膜ができます。
この酸化皮膜は”自然酸化皮膜”と言われていて、自然酸化皮膜は厚さが非常に薄いので防食用保護皮膜としては使えない皮膜です。

アルミニウムを陽極(アノード)にして、ある種の水溶液中で電気分解すると、アルミニウム上に酸化皮膜が形成されます。この電解を”アルミニウムの陽極酸化”と言います。
銅や亜鉛などの金属を陽極酸化するとこれらの金属は溶解するだけで、厚い酸化皮膜は生成しません。

※アルミニウム以外では、チタン合金・マグネシウム合金が陽極酸化で皮膜が形成されます。

アルミニウム陽極酸化の電解浴の種類の違いにより、”バリヤー型酸化皮膜”と”多孔質型酸化皮膜”(アルマイト)ができます。

アルミニウムを中性水溶液であるホウ酸-ホウ酸ナトリウム混合水溶液や酒石酸アンモニウム・クエン酸・マイレン酸・グリコール酸などの水溶液で陽極酸化するとバリヤー型皮膜ができます。
これらの水溶液はアルミニウム酸化物を溶解する力が弱いので、アルミニウム上には陽極酸化によって緻密な薄い参加皮膜ができるのです。
バリヤー型酸化皮膜の厚さは陽極酸化するときの電圧に依存し、高電圧で陽極酸化することで厚いバリヤー型皮膜ができます。
ですが陽極酸化電圧を無限大に大きくすることはできず、500V~700V程度が限界であり、これ以上の電圧を印加すると、アルミニウム表面で火花放電を起こし、絶縁破壊を起こしてしまいます。

バリヤー型皮膜の厚さは電解時間や電解浴の温度にあまり影響を受けないのが特徴で、アルマイト(多孔質型酸化皮膜)と違う点です。
バリヤー型皮膜の主な用途は弱電部品のコンデンサーとしての利用があります。

アルミニウムを硫酸・クロム酸・リン酸・シュウ酸などの酸性水溶液中で陽極酸化すると多孔質型酸化皮膜ができます。これが一般的にアルマイトと呼ばれる陽極酸化皮膜になります。
弱アルカリ性水溶液でも多孔質型酸化皮膜ができる文献等がありますが、工業的には、ほとんど利用されていないようです。

多孔質型皮膜は複合皮膜とも言われる。
ここで”バリヤー型皮膜”と”バリヤー層”は、はっきりと区別して用いられる言葉です。
また”多孔質型皮膜”と”多孔質層”も区別して用いられます。

下図にバリヤー型皮膜と多孔質型皮膜の皮膜断面構図をご紹介します。

表面処理に関する専門用語はこちらで詳しく解説しています

多孔質型皮膜は、上図のように多孔質な酸化皮膜(多孔質層)と緻密な酸化皮膜(バリヤー層)からできている二重層皮膜になっています。多孔質層の暑さは電解時間・電流密度・電解浴温などに依存します。
理論では、電解時間が長いほど、電流密度が大きいほど、多孔質層は厚くなっていきますが(ファラデーの法則:電気分解で生成される重量は電気量に正比例する)実際に現場ではそのようにはいきません。計算される皮膜厚さよりも薄くなります。
電解浴の浴温が低いと酸化皮膜の成長がよく、かつ硬い皮膜が形成されます。
硫酸浴を0℃まで冷却し、陽極酸化した皮膜を”硬質酸化皮膜(硬質アルマイト)”と呼び実用化されています。

また浴温が高く60~80℃のような場合は、酸化皮膜は薄く軟質な皮膜となり、電解研磨されたような表面状態になります。

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