アルマイトをしたら黄色っぽくなってしまったとか、材料ロットによって色調がバラついてしまったとか
これ、よくある事例なんですが・・・
これらはアルミニウム材料の影響を受けている場合もあります。

アルミニウム材種の金属組織・分布状態などがアルマイト外観に非常に顕著に現れるのです。
外観の性質とアルミニウム材料との関連性について今回は書いていこうと思います。

1.アルミニウム合金の添加成分の影響

アルミニウム合金中の元素、化合物の陽極酸化時の挙動により、外観的に透明・曇り・着色・鏡面反射・散光反射の状態が現出する場合があります。
また、添加元素の種類により色調が違ってきます。

アルミニウム合金系の色調を下記にご紹介します。

アルミニウム合金系によるアルマイト皮膜の色調

材質 硫酸アルマイト シュウ酸アルマイト
Al-Si系 灰色・黒に近い色 暗灰色より黒色
Al-Cr系 帯黄色 帯青色
Al-Mg系 僅かに透明さを減少 淡い黄色
Al-Mn系 灰色・黄色 帯黄色
Al-Cu系 灰紅色 帯紅灰色

次にアルミニウムの主要な金属間化合物及び固溶体と硫酸アルマイトとの関連を下記表にてご紹介します。
この影響度は鉄(Fe)、ケイ素(Si)の影響が大きく、マグネシウム(Mg)は色調への影響が少ない。

アルミニウム合金成分と硫酸アルマイト加工時の挙動

合金系 合金名 主要成分 主要な金属間化合物 硫酸アルマイト加工での挙動
純アルミ A1100 Fe,Si FeAl3
β-Al-Fe-Si
Alと同程度に酸化、Feは残存酸化されない。
Al-Cu系 A2017
A2024
Cu,Mg CuAl2 溶解する。(大)

固溶体中のCuは溶解する。
Al-Mn系 A3003 Mn MnAl6 酸化されず、皮膜中に残存、固溶体中のMnは一部溶けるが多くは皮膜中に残存。
Al-Si系 A4043 Si Si 酸化されず皮膜中に残存。
Al-Mg系 A5052
A5083
Mg Mg2Al3 酸化され、溶解する固溶体中のMgは多少溶解。
Al-Mg-Si系 A6063 Mg,Si Mg2Si 酸化、溶解する。Mgが溶解し、Siは溶解せずに残存。
Al-Zn系 A7N01
A7075
Zn,Mg MgZn2
Al-Mg-Zn
溶解する。

溶解する。固溶体中のZnは少し溶解する。
その他 Cr CrAl7 溶解する。固溶体中のCrは大部分皮膜中に残存する。
その他 Ni NiAl3 酸化され、溶解する。固溶体中のNiは皮膜中に一部残存。
その他 Ti TiAl3 酸化されない。

存在する金属間化合物の性質は、
①MnAl6、FeAl3、CuAl2、CrAl7、Si・・・いずれも陽極酸化で溶けないで皮膜中に残留する。
 皮膜の色調を変化し、透明度を悪くする。

②Mg2Si、Al2Mg2、Al2Mg3Zn、Mg2Zn、Mg2Al3・・・いずれも陽極酸化で溶解し、皮膜中に痕跡をとどめない。

2.アルミニウム合金の熱処理の影響

同一材料でも熱加工・熱処理の差異・バラツキによって陽極酸化の外観に大きい差異が生じることがあります。熱を受けることによって、アルミニウム中の固溶α組織、析出状態に変化がでるので注意が必要となります。
 例えば、硫酸アルマイトの色調で、純アルミ材と僅かにケイ素(Si)の添加、150〜250℃加熱されると皮膜が僅かに黄色化します。この温度範囲で、ケイ素(Si)が細かく析出したことによります。なまし調質の温度のバラツキにより色のバラツキが生じます。
溶接部は鋳造組織を示し、母材と同一の溶加材を使用しても、母材と同一組織ではないためアルマイトの外観は母材と異なります。

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アルマイトを依頼する際に注意する点はどんな事?

3.アルミニウム合金の組織の影響

鋳造組織が不均一な鋳塊が加工された場合は、アルマイト加工すると幅広い、はっきりした筋模様が出現し問題となることもあります。また、タテ・ヨコ交互圧延では木目模様、白雲模様などが現出します。
押出形材で部分的に肉厚の変化が著しい場合は、肉厚の変化部に帯状の筋模様が生ずることもあります。
帯状部分はMg2Si金属間化合物が多く析出し、アルマイトした場合に、この部分の皮膜が正常部分と比較して不透明化・光沢のない白筋として現れることもあります。

4.その他の問題点

圧延加工時に発生するロール傷、圧延油の付着ムラなどが前処理によっては仕上げ表面に残り問題となるケースもあります。
押出形材は、押出ダイスとの摩擦により生じるダイスマークが一番の問題になります。表面処理の種類、どの面の外観要求度が高いのかの指示を素材メーカーに伝えて、素材の時点から協力してもらう必要があります。

引用:
アルミニウム陽極酸化における材料の問題点について、「実務表面技術」
各種アルミニウム材料とその陽極処理、「実務表面技術」
「アルミニウム表面技術」

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