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鋳塊(ちゅうかい)
転炉や電気炉で精錬した溶鋼を取鍋(とりべ)に受け、温度調節、成分調整および脱酸後に鋳造し、凝固させた塊。鋼塊、インゴットingotともいい、この工程を造塊ingot makingと称する。鋳塊はその後、分塊、圧延あるいは鍛造され種々の製品となる。造塊では凝固、収縮、冷却のみでなく化学反応もおこり、複雑な現象が生じるので、これらの制御が最終製品の品質に大きな影響を及ぼす。
鋳塊は脱酸の度合いによりキルド、セミキルド、リムド、キャップドの各鋼塊に分けられる。キルド鋼は十分脱酸され、静かに凝固する。上部に大きな収縮孔をもち、歩留りが低く原価は高いが、偏析は少なく内部は健全で高級鋼に適する。リムド鋼は未脱酸で一酸化炭素の発生によるリミングアクションがおこり、比較的純粋な外殻(リムrim)ができ、鋳肌(いはだ)がきわめてきれいで薄板に適する。歩留りがよく原価が安い。セミキルド鋼、キャップド鋼はキルド鋼、リムド鋼の欠点を補うべく考えられたものである。鋳型は鋼材種類に応じて下広か上広の扁平(へんぺい)型、角型、菊型がある。注入方法には上注と注入管、湯道を設けた下注がある。下注は注入速度が遅く原価が高いが、鋳塊の品質はよく高級鋼に適する。近年造塊工程は特殊鋼や大形鍛造品の鋳塊を除き、作業環境、歩留り、省エネルギー、省力化などの観点から工程を省略し、直接、溶鋼より鋳片をつくる連続鋳造にとってかわられている。