先日、『アルミ部品を黒くアルマイトしたいのですが?』と、アルミ部品を持ち込んでくださり、ご相談がありました。

アルミニウムの材質は、不明らしく数量も2個のみの依頼です。

アルミ部品

材質も不明の場合、仕上がり具合などが想定できないので注意が必要です。

すでに、使用していた部品なのか?内面にも汚れがあるとともに、磨いた表面は磨き傷が多くあります。
しかし、お客様は綺麗な仕上がりを求められていると思うので、黒色のアルマイトを施すにも前処理をしっかりやっておかなければなりません。

1.前処理

アルミ部品の現状を確認すると、傷・汚れなどがあり、現在、何か皮膜が付いているのかもわかりません。
そこで、一度、苛性ソーダで、洗浄し汚れの除去をして表面を確認します。

苛性ソーダで洗浄してみると、何も皮膜は付いていないようなので、このまま黒色アルマイトをしても良いのですが、磨き傷が多いため、仕上がった際に傷が目立つ可能性もあります。

そこで、今回は化学研磨を施します。
苛性ソーダでエッチングした際に、黒くスマットが発生しましたので、A2000系または、A7000系の素材と考えられますので、硝酸含有タイプの化学研磨液を使用して化学研磨を行います。

化学研磨を施した状態が下記の写真になります。

化学研磨後

表面処理に関する専門用語はこちらで詳しく解説しています

2.黒色アルマイト

化学研磨を施したのちに、アルマイト皮膜を生成させ、黒色の染料に浸漬し、着色していきます。

材質毎に、アルマイト時の電解電圧や染色時間なども変更して処理をするため、材質が不明なのは、ハードルが非常に高いのです。

しかも、単品的に2個しかないため失敗は許されない状況ですので、注意しなければなりません。

黒色アルマイト後

3.外観

よくみると、アルミ部品には磨いた時の細かな傷は残っていますが、仕上がりとして綺麗に仕上がっています。
最初についていた汚れも残っておらず、全面に黒色アルマイトが施せています。

今回は、この状態でお客様にお渡しすることで完了となりました。

弊社でおこなっている表面処理については、こちらから。

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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者