アルミニウム材料は、非熱処理型合金(加工硬化型合金)・熱処理型合金に大別できます。

冷間加工の程度や熱処理の種類によって、各種の機械的性質を有する材料へ調質することができ、それを区別するために「質別記号」にて区別されています。

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他の金属と同じように、成分だけでなく、製造されたアルミ材がどのような加工や熱処理を経ているのかという点は物理的性質に直接影響しますので、アルミ材を検討するときには、この調質の内容を示した「質別記号」もあわせて見ておくことが大切です。

通常、アルミの材料記号の末尾についており、A1100-O、A7075-T6といった場合、OとT6が質別記号になります。

素材としてのアルミの多くは合金の形で使われますが、調質の内容としては、焼きなまし、加工硬化、溶体化処理、時効処理、人工時効硬化処理などの組み合わせによるものです。特に硬度については調質によって具体的に指定されている場合もあります。

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質別記号について下記の表にまとめておきましたので、ご参考にしてください。

質別記号

質別 内   容
F 製造のままのもの。 加工硬化又は熱処理の特別のコントロールをしない製造工程から得られる製品について適用する。
通常, 展伸材については機械的性質の制限をしない。(現行JISでは, 抽伸棒に適用されている。)
T1 高温加工から冷却したのち, 十分な安定状態にする為に自然時効硬化したもの。従来押出材でF材と称していたもの。
JISでは, 6063に適用されている。 当社の場合6063以外の熱処理合金についても, 従来のF材をT1としている。
O 焼きなまししたもの。(最も軟かい質別に適用する。)
H112 展伸材においては積極的な加工硬化を加えずに,製造されたままの状態で機械的性の保証されたものを示す。
HXY H:
(所定の機械的性質を得る為に追加焼きなましなしで加工硬化した製品に適用する。この数字の後の数字は,強度の程度を表わす。)
加工硬化したもの。(適当な軟かさにする為の追加焼きなましの有無を問わず,加工硬化によって強度を増加した製品に適用する。Hのあとには,2つ又はそれ以上の数字がつけられる。)
“H”の後に続くXおよびYの数字は,次のような基本的作業の特別な組合せを表わす。

HlY :”
加工硬化のみのもの。
H2Y:
加工硬化後適度の焼きなましをしたもの。
(所定の値以上に加工硬化した後に適度の焼きなましによって,所定の機械的性質まで低下させた製品に適用する。常温で時効硬化する合金については,H3n質別とほぼ同じ強度を持つ。その他の合金については,H1n質別とほぼ同じ強度を持ち,やや高い伸びを持つ。この記号の後の数字は,適度の焼きなまし後に製品に残された強度の程度を表わす。)
H3Y:
加工硬化後,安定化処理したもの。
(常温で時効軟化するMgを含んだ合金は,製造後の経日変化を生ぜしめないように低温加熱により加工硬化後安定化処理するが,その製品に適用する。この記号の後の数字は安定化処理後,製品に残された強度の程度を表わす。)

H4Y:
加工硬化後塗装したもの。
(加工硬化した製品が塗装の加熱によって部分焼なましされたもの。)

HX8:
通常の加工で得られる最大引張強さのもの。
(断面減少率がほぼ75%の時得られるのに相当する最終加工硬化の程度を持つ質別を表わす。)

HX4:
O=焼きなましとHX8=硬質のほぼ中間の引張強さを持つ材料。

HX2:
OとHX4の中間。

HX6:
HX4とHX8の中間。

HXl,HX3,
HX5,HX7:
OとHX2,HX2とHX4,HX4と
HX6,HX6とHX8の中間。

HX9:
引張強さの最小規格値がHX8より10N/mm2以上超えるもの。

T3 溶体化処理後冷間加工を行い,さらに自然時効させたもの。
(溶体化処理後強さを増加させるため冷間加工を行い,さらに十分に安定な強度まで自然時効させたもの。)
T351
T3511
溶体化処理後冷間加工を行い,残留応力を除去し,さらに自然時効させたもの。
(溶体化処理後強さを増加させるため冷間加工を行い,永久ひずみを与える引張加工によって残留応力を除去した後,
さらに自然時効したもの。)
T361 T3の断面減少率を6%としたもの。
T4 溶体化処理後,自然時効させたもの。
(溶体化処理後冷間加工を行わず,十分に安定な状態まで自然時効させたもの。
したがって,矯正してもその冷間加工の効果が小さいもの。)
T42 T4の処理を使用者が行ったもの。
T451
T4511
溶体化処理後残留応力を除去し,さらに自然時効させたもの。
(溶体化処理後,永久ひずみを与える引張加工によって残留応力を除去し,さらに自然時効させたもの。)
T5 高温加工から冷却後人工時効硬化処理したもの。
(鋳物または押出材のように高温の製造工程から冷却後積極的に冷間加工を行わず,人工時効硬化処理したもの。
したがって,矯正してもその冷間加工の硬化が小さいもの。)
T5E T5処理の人工時効の時間を短く,温度を低くして亜時効処理したもの。
曲げ加工をするもので,T1では強度不足のものに適用する。(当事者間の協定による調質)
T6 溶体化処理後人工時効硬化処理したもの。
(溶体化処理後積極的に冷間加工を行わず,人工時効硬化処理したもの。
したがって,矯正してもその冷間加工の効果が小さいもの。)
T62 T6の処理を使用者が行ったもの。
T651
T6511
溶体化処理後残留応力を除去し,さらに人工時効硬化処理したもの。
(溶体化処理後,永久ひずみを与える引張加工によって残留応力を除去し,さらに人工時効硬化処理したもの。)
T7 溶体化処理後安定化処理したもの。
(溶体化処理後特別な性質に調整するため,最大強さを得る人工時効硬化処理条件を超えて過剰時効処理したもの。)
T73 溶体化処理後過時効処理したもの。
(溶体化処理後耐応力腐食割れ性を最大にするため過時効処理したもの。)
T74 溶体化処理後過時効処理したもの。
(溶体化処理後耐応力腐食割れ性を調整するためT73とT76の中間の過時効処理したもの。)
T76 溶体化処理後過時効処理したもの。
(溶体化処理後耐はく離腐食性をよくするために過時効処理したもの。)
T8 溶体化処理後冷間加工を行い,さらに人工時効硬化処理したもの。
(溶体化処理後強さを増加させるため冷間加工を行い,さらに人工時効硬化処理したもの。)
T83 T8の断面減少率をほぼ3%としたもの。
T851 溶体化処理後冷間加工を行い,残留応力を除去し,さらに人工時効硬化処理したもの。
(溶体化処理後,永久ひずみを与える引張加工によって残留応力を除去し,さらに人工時効硬化処理したもの。)
T861 T361を人工時効硬化処理したもの。
T9 溶体化処理後人工時効硬化処理を行い,さらに冷間加工したもの。
(溶体化処理後人工時効硬化処理を行い,強さを増加させるため,さらに冷間加工したもの。)

 

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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者