お客様よりアルマイト加工依頼を受注した後に、お電話で『今、お願いしているアルミニウムの切削加工品を黒色アルマイトで下地が見えないぐらい黒くして欲しい』とご連絡をいただきました。
『ん!?』
『どう言うこと・・・???』と、言われている意味がうまく伝わってこなかったので、再度聞き直したのですが、
切削加工の際についたツール目や素地の黒皮部分の模様などが見えないぐらいに厚くアルマイトをして欲しいと言うことでした。
と言っても・・・すでに製品はアルマイトラインで、前処理が終わりアルマイトの電解中。
受注してから、すでに3日経っているので場合によっては完成してしまっている時期です。
ですが、アルマイトの皮膜は無色透明の皮膜であり、染料をその無色透明の皮膜の中に入れて染色しているので、ツール目などを消せる効果は皮膜にはありません。
では、どんな風にしたらツール目を消せるのかをご紹介したいと思います。
1.バフがけをして、ツール目を消す方法
ツール目を消すには、削る際についたツール目とは違う方向性の磨き傷をつけることで、ツール目を隠すことができます。
ホームセンターなどでも販売されている、スコッチブライトなどと呼ばれるものを使用して、
一定方向に磨き傷を故意につけることでヘアーライン仕上げの仕上がりにすることができます。
ツール目を消す場合には、目の粗いスコッチ ブライトで磨き、徐々に細かいものにすると綺麗に仕上がります。
粗いサンドペーパーなどで磨いてしまうと、スコッチブライト等では、消えないほどの深いキズが入ってしまいますので、注意が必要です。
また、磨く際にはアルミ素地に熱が加わり過ぎたり、表面の粗さが違い過ぎるとアルマイト加工をした際に、磨きムラが顕著に出る場合がありますので、ご注意ください。
2.サンドブラストでツール目を消す方法
ツール目を消すにはサンドブラストは効果的ではありますが、サンドブラストで外観面が梨地になるため、梨地面でかつ、艶消しアルマイトの仕上がりで問題のない部品に加工が可能です。
粗いブラストメディアで打つほど、梨地面は深くなり、艶消し状態も強くなります。
アルマイト後の色調にも影響を与えますので、事前に外観の確認をおこなっておく方が良いかと思います。
サンドブラストの場合でも、バフがけと同様にサンドブラストにより粗した表面の粗さの違いによりムラが発生する場合もありますので、表面粗さが均一になるようにブラスト処理をおこなう必要があります。
以前に書いた記事がありますので、そちらも参考にしていただければと思います。
サンドブラスト後にアルマイトしたら表面にムラが発生してしまった
サンドブラスト後に化学研磨を施すことで、下記の写真のようなツール目がなく、梨地表面で光沢のある黒い仕上がりになります。
3.化学梨地でツール目を消す
アルマイト工程の前処理として化学梨地工程があります。
その化学梨地工程を利用してツール目を消そうとする場合、深いツール目は消えません。
化学的におこなう場合、素材の凹凸はそのままの状態で梨地になるため、ツール目が残ったまま凹凸した表面になります。
ただ、光沢のある状態と比べると比較的見えにくくなる方向性ではあります。
化学梨地の利点としては、バフがけやサンドブラストではできない、パイプなどの内面の艶を消すことができます。
化学梨地の液が触れた部分は艶を消せますので、バフ研磨やサンドブラストでは不可能な内面を処理することができます。
化学梨地工程をご紹介した動画を下記に掲載しておきますので、ご参考にしていただけたらと思います。
これらの3つの方法のように、ツール目を消すには機械的加工、または化学的処理を加える必要があり、皮膜の厚さを厚くしたり薄くしたりしてもツール目が消える事はありません。
4.動画で解説しています。
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