粉ふきには種類がある
封孔処理後にアルマイト表面に生じる白色系の粉状物質を総称して通常「粉ふき」と言いますが、JISで規定された「シーリングスマット」と呼ぶものです。 JISで定義されている「粉ふき」は電解不良による陽極酸化皮膜の表面に粉状物質が生成してしまう現象を言い、封孔処理で発生する「粉ふき」とは違うのですが、環境状態・光で発生する「ブルーム」や「チョーキング」、染色で発生する「かぶり」なども含めて「粉ふき」と一般的に言います。

柔らかいティッシュペーパーで軽く拭いて取れる極微量の粉ふきから、染色品のニッケル塩封孔で稀に発生する多量のビロード状粉ふきまで、その粉ふき状態も様々です。

今回は、「粉ふき(シーリングスマット)」にポイントを置いて書いていきます。

表面処理に関する専門用語はこちらで詳しく解説しています

粉ふきの発生原因と主成分
粉ふきは加圧水蒸気処理、沸騰水処理、ニッケル塩処理など、水を使用して高温で封孔処理する水和封孔処理で発生します。これらの封孔機構はアルマイト皮膜を構成する無水アルミナに水分子が付加されて、その体積膨張により孔を閉塞充填するため、進行過程は皮膜の無水アルミナが一旦溶解してから、水を1分子から3分子含んだアルミナを生成します。その際の高温反応で皮膜表面に析出して来るものが「粉ふき」で、主成分は含水アルミ酸化物なのです。

沸騰水封孔処理
80℃以上では水が1分子付加した擬ベーマイトが、80℃以下では水が3分子付加しバイヤライトが形成され孔が閉塞する。沸騰水処理で形成される粉ふきはAl2O3・n H2O(n=1.4~3.0)の無定形のベーマイトまたはバイヤライトに近いもので、沸騰水封孔処理の粉ふきは軽微です。

ニッケル塩封孔処理
沸騰水封孔処理のアルミナ水和物形成に加え、ニッケル塩の加水分解による水酸化ニッケルの生成による孔の閉塞もあり、水酸化ニッケルの生成が加わる分だけ、孔の充填度は沸騰水封孔処理よりも向上します。ニッケル塩封孔処理で発生する粉ふきはアルミナ水和物と水酸化ニッケルとの混合物なのですが、水酸化ニッケルの比率が高いです。
これは皮膜表面で、アルミなの溶解で生成したアルミイオン、アルミ水酸化物によりニッケルイオンが水酸化物または複合酸化物として共沈しやすくなると考えられています。

ニッケル塩封孔処理の動画

今回は、粉ふきの発生原因と主成分について書きましたが次回は、粉ふきの軽減対策や発生してしまった粉ふきの除去方法について書きたいと思います。

アルマイトは、なぜ封孔処理するのか!?

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