お客様より、先日『アルマイトして納品した製品の素材に黒い線のような素材キズがあり、部分的に磨いたので剥離して再アルマイトして欲しい』とお電話がありました。

急いでいるようでしたので、定期集荷の便よりも宅配便で送っていただいたほうが納品が早めれるため、送っていただきました。

到着した製品を確認すると、下の写真のような磨き具合になっていたのですが、ここの丸棒の部分は外観になる部分で、このまま剥離しても残ってしまいます。

磨き痕が残ってしまうとお話ししても、なかなか想像できないと思うので、これを剥離していく工程をご紹介したいと思います。

1.剥離のためのラッキング

外観部分に、これ以上キズをつけることはできないので、ネジ部を治具で掴むようにラッキングします。

このラッキングした部分で、治具と触れている部分のアルマイト皮膜は剥離することはできませんが、小さな接点となっているので、再加工の際に、アルマイトの前処理で剥離し、再加工できるので問題はありません。

2.アルマイトの剥離

ラッキングが完了した製品を自動アルマイトラインへ投入し、脱脂処理します。
※脱脂処理・・・素材についた油汚れなどを除去します

脱脂処理が完了したら、水で洗浄し、脱脂液を洗い流します。
その後に、エッチング工程に移動しアルマイト皮膜を剥離します。

この際に、すでに磨いてある部分はアルマイト皮膜が剥がれているため、アルマイト皮膜がある部分よりも、過剰にアルミ素材が溶解します。
ここで、アルマイト皮膜のある部分と皮膜の無い部分の差が発生してしまいます。

エッチング工程でアルマイト皮膜が剥がれると、再度水洗工程に移動し、エッチング液を洗い流し、エッチング液では除去できない汚れを脱スマットにて除去します。

脱スマットが完了すると再度水洗をおこない、搬送されてアルマイトラインより取り出されます。
取り出された直後の製品が、こちらになります。

やはり、磨いた痕跡が残ってしまっています。
エアーブローし、乾燥機にて製品を乾燥させ、治具から取り外します。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.治具から取り外した製品

乾燥が終わり、アルマイト用の治具から製品を取り外したものが下記の写真になります。

濡れていた状態よりも、わかりにくい感じの写真になっていますが、磨いた痕跡はしっかりと残ってしまっています。拡大した写真が、下記の写真になります。

このままの状態で、アルマイトを再度おこなっても、アルマイト皮膜は無色透明皮膜のため。
このキズは残ってしまいます。

では、どのように修正したら良いかと言うと、アルマイトを剥離した状態で、磨き加工をおこなうか、切削加工をおこない、この磨き傷を除去します。

その後に、再度アルマイトをおこなうことで、綺麗な仕上がりにすることができます。ですが、このように先に磨いてしまうと、磨き→剥離→磨き→アルマイトと工程も手間もかかってしまいますので、今回のような場合は、剥離→磨き→アルマイトとという工程をおこなうと、一手間削減することができます。

今回は、剥離した状態でお客様に、返却し、再度磨いていただくため、このまま梱包して出荷することになりました。

4.動画で解説しています。


 

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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者