ホームページを見たとお客様からお電話があり、
「ステンレスにコーティングしたけど、剥がれて困っている」とご相談がありました。

そこで、詳しくお話を聞きながら実物を実際に確認し、
・現状がどのような工程なのか?
・剥がれる原因は何なのか?

その辺りを把握していきます。

現状は、脱脂処理というより拭き取っている感じのレベルではありますが、油がベタベタしている感じではありません。
ですが、ステンレスは酸化膜が生成しやすい素材でもあるので、塗装と同じように密着性が悪いのは間違いないです。

そこで、以前にテストしている結果から、ブラストによる面粗化、もしくは、化学洗浄で完全脱脂する方法を提案させていただきました。
コスト的に考えると製品も大きめなので、化学洗浄がコスト的にも良いということで、化学洗浄で試作をおこないます。

化学洗浄前

1.化学洗浄試作

拭き取り検査

実際にどれぐらい除去できるのか確認していただくために、お客様が持ち込んでくださった製品を、その場で試作で洗浄し、汚れをティシュで拭き取り確認します。

汚れは、ほぼゼロ状態ですので、剥がれることはないかと思います。

2.化学洗浄条件の設定

化学洗浄するにあたって、毎回同じレベルの汚れとは考えられにくいため、どれぐらいの濃度・温度・時間で汚れが除去できるのかも確認し、細かな条件を決めていきます。
コスト的にも、まとめて洗浄できるようにバスケットに入れて洗浄する方法をとります。

化学洗浄

また、汚れの有無を確認する方法として、洗浄後に、ティシュで汚れ拭き取り検査をし、どのレベルが合格ラインなのかも、合わせて取り決めます。

拭き取り検査合格ライン

これらを決めることで、お客様から入荷した時の汚れのレベルにばらつきがあったとしても、化学洗浄後の拭き取り検査で、『不合格』となれば再度洗浄する工程に取り決めることで、汚れが除去できていないロットの流出は防げるようになります。

表面処理に関する専門用語はこちらで詳しく解説しています

3.洗浄後の箱への梱包方法

化学洗浄で、製品の汚れは除去できたとしても、お客様から入荷した際に入ってきた箱には、油汚れが付着しているため、その箱に製品を入れてしまっては箱に付着していた汚れが、再付着してしまい化学洗浄した意味が無くなってしまいます。

また、箱の底の外側などにも、汚れが付着している時があり、箱を積み重ねた場合に箱の裏側の汚れが製品に付着する場合があります。

これらの汚れの付着の可能性を、防ぐには・・・

・綺麗な箱に化学洗浄済みの製品を入れる。
・箱にフタをする。

こうすることで、汚れの再付着は防げるため、洗浄前の製品と洗浄後の製品は、箱を変えることに。

フタについては、お客様側で、フタがないということなので、製品の下から上にかけて新聞紙でまくようにして汚れが製品につかないように梱包することになりました。

化学洗浄後梱包

今回の試作、記事として書いていると短いですが、この試作に要した期間は、6ヶ月ほどです。
お客様側でも、洗浄レベルの違いを比較するためにコーティングして剥がれの確認なども行なっていただいているので、時間もかかってしまうのです。

今回の試作結果をQC工程表・作業標準書に反映させ、量産を待つばかりになりましたので、記事にさせていただきました。

4.動画で解説しています。


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ステンレスに塗装したけど剥がれてしまう!化学洗浄でなんとかできないか!?

この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者