以前に、弊社のお問い合わせフォームより『オートバイのクラッチカバーにアルマイトできますか?』とご相談がありました。

実際に、すでにアルマイトした製品を見たことがあるということなので、
アルマイトの仕上がり具合も、ご存知のようでした。

アルマイトをクラッチカバーにしたい用途として、
・耐摩耗性が欲しい
・外観部品的な黒色ではなくても構わないが、黒系統の色調が欲しい。

とのご要望でしたので、材質的にもアルミニウムダイキャスト系の材料のため、処理は可能と判断しました。

ただ、アルミニウムダイキャストの材質の種類が、どれなのかはわからない為、確実にどんな風に仕上がるかはお伝えできませんでしたが、ご依頼をいただきましたので、ご紹介したいと思います。

1.クラッチカバーの到着

クラッチカバーに付属していたアルミニウム以外の部品を全て取り外していただき、液体ホーニングをお客様側でおこなってくださって、汚れやサビなどもほとんど除去されている状態で入荷してきました。

ここまで処理されていれば、アルマイトの前処理をしてアルマイトするだけで作業は進みやすいです。

2.クラッチカバーにアルマイトを施す

クラッチカバーをアルミの針金で治具に吊るし、ラッキングします。
今回、工程中の写真を撮り忘れてしまいましたので、写真はありませんが、
複雑な形状のため、エアー溜まりができないように吊るす向きを工夫しながらラッキングしていきます。

エアー溜まりができてしまうと、その部分はアルマイト皮膜が薄かったり、皮膜が未生成だったりしてしまうため気をつけなければなりません。

ラッキングが完了したら、通常通り自動アルマイトラインへ投入し、アルマイトを施していきます。

アルマイト工程については、以前の記事で詳しく説明していますので、下記の記事をご参考にしてください。

『アルマイト工程は、どんな工程なのか知りたい』と相談がありました。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.アルマイト完成

自動アルマイトラインに投入して、1時間半ほどするとアルマイトが完了して、アルマイトラインから取り出されます。

キズを付けないように、治具から取り外し完成したクラッチカバーが下記の写真になります。
黒色が希望とのことでしたが、こちらの完成品は染色していません。

アルマイトの染料は有機染料を使用しているため、熱や紫外線に対して強いわけではありませんので、染色せずに自然に発色した色調の状態が一番外観が変わらずに色を保持できます。

ですが、この自然に発色する色はアルミニウムの材質種類による影響を受けますので、どの材質でも、この色が出るわけではありませんので、ご注意ください。

今回は、この仕上がりでお客様に発送させていただきましたところ、非常に喜んでいただけたようで、良かったです。

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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者