お客様からのご依頼で、グレーアルマイトの指定がありました。

以前に色見本を貸して欲しいと言うことで、お貸ししたときに色見本の中から色調を選択していただき、アルマイトをした際の材質や表面状態で色調に多少のバラツキが出ることは確認いただいて決まった色調です。

今回、A5000系の全面切削品に、グレーのアルマイトを施すというご依頼なのですが、ラッキングできる穴は1箇所しかなく、その穴は止まり穴になっています。
その穴を利用して、電流を流す接点を取りアルマイトをおこないます。
また、少量の28個のご依頼のため、自動ラインで染色せず、染色のタイミングだけ手作業で染色をおこないました。

少量の場合、染料のコストだけでも高額になってしまうため手作業で染色した方が染料のコストを抑えれるため、そのような工程になりました。

1.グレーの色調

弊社の持っているカラーアルマイトの色見本を、以前に確認していただき、下記の写真のグレーの色調が希望とのことでご連絡があったのですが、その時は材質がA2000系またはA5000系のどちらかになるというレベルでしたので、材質によって色調が変わることもお伝えしておきました。

色見本

アルミニウムの材質ごとに、アルマイトの皮膜の色調が違いA2000系やA7000系は少し黄ばみを帯びた色調になります。
そのため、染色しても色調に違いがでてしまいます。また、A5000系と言っても色調やあ表面の粗さの違いによっても色調が違うため、色見本と全く同じ色調にはならないことをご説明しておきました。

その中で、ご依頼をいただきましたのでできるだけ似ている色調には合わせますが、若干の誤差はご了承いただいています。

カラーアルマイトの色のバラツキなどについては、以前にもご紹介していますので下記のブログ記事をご参考にしてください。

カラーアルマイトの色のバラツキと色合わせの難しさ

2.製品をラッキングしてアルマイト加工

治具に製品をラッキングしてアルマイトをおこないます。外観部品でもあるため、止まり穴周辺の仕上がりも重要になります。

液ダレなどが止まり穴周辺は発生しやすく、今回はその辺もNGとなりますので手間をしっかりかけて生産します。(手間がかかるということはコストもかかります。)

ラッキング

この状態で自動アルマイトラインへ投入し、前処理をおこないアルマイト加工をおこないます。
アルマイト電解までは、自動で処理され仕上がってきます。
アルマイト後の水洗槽に搬送されたところで、自動ラインから治具を抜き取り製品の止まり穴周辺を手作業で洗浄します。ここ洗浄が足らないと穴の中のアルマイト液で液ダレが発生してしまったりします。かと言って洗浄のし過ぎの場合は染色がうまくいかず染色不良にもなるため、気をつけなければなりません。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.グレーに染色

アルマイト後の水洗が完了したら、染色をおこないます。
染色中もしっかりと染料を止まり穴の中に入れるように攪拌と揺動をおこない均一に染色できるように液の状態を保ちます。

染色の濃さは、染料の温度・時間・濃度で決まりますので、所定の時間が経過したら同じ色調になるのですが、材質ごとに皮膜の厚さや皮膜に空いている微細な孔の大きさが違うため、同じ色調にならない場合があります。
時折、染色状態を確認しながら、濃くなりすぎていないか確認をおこないます。
色が薄い場合には、時間を延長して濃さを増していくようにします。

試作的な場合には、このように微調整をおこないながら色調を合わせ仕上げることになります。
また、この後の封孔処理で染料が抜けて色調が薄くなることも考慮して、少しだけ濃いめに染色しておかなければなりません。

封孔処理が完了したら水洗をおこない、止まり穴の中がきれいになるように洗浄をおこないます。封孔処理液が止まり穴の中に残っていたりすると、乾燥後に白い塊のような物が中に残ってしまったりしますので、水洗は非常に重要になります。

乾燥

乾燥機で、製品を乾燥し出来上がったものが、こちらの写真になります。
写真で見ると製品の方が若干濃く見えますが、写真撮影時の違いです。

グレーの染料を使用せず、グレーっぽい仕上がりにする場合には黒の染料を淡く入れることで、グレーっぽい色調に仕上げることも可能です。

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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者