前回の記事で、「封孔処理の不具合粉ふきが、なぜ発生するのか!?」を書きましたが、今回はその第2弾 粉ふきの防止策について書きたいと思います。

封孔処理の不具合粉ふきが、なぜ発生するのか!?



粉ふきの防止策
粉ふきはアルマイト表面のAlイオンが関係していて、その存在量が多いほど粉ふきが発生しやすくなります。

前処理工程の改善で表面に付着しているAlイオンを減らすことができます。
表面にあるAlイオンを減少させるためにAlイオンを錯化またはキレート化できる有機化合物 あるいは、界面活性剤などが封孔浴に添加されます。

例えば、オキシカルボン酸・リグノスルフォン酸・スルホサリチル酸など有機酸とそのアルカリ塩が使用されます。また、粉ふきの防止剤として、ナフタレンスルフォン酸のホルマリン縮合物などの界面活性剤も使用されています。ですが、その添加量や補給は難しく多すぎると封孔性能を低下させてしまいます。
粉ふきを低減させるためには、前処理・アルマイト・染色・電解着色などを適正な条件で処理する必要があり、沸騰水封孔処理・ニッケル塩封孔処理では、純水・イオン交換水を使用する。

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加圧水蒸気封孔処理

  1. 電解条件の変更 (電解液温度の低下、高電流密度による短時間電解で、電解液による皮膜溶解 を防止し皮膜表層部の脆弱化を避ける)
  2. 脱スマット液の更新、脱スマット条件の強化(液の温度をあげる、濃度の上昇・処理時間の延 長)

沸騰水封孔処理

  1. 粉ふき防止剤の添加、適正pHの浴管理、イオン交換水を用いる。
  2. 電解条件の適正化、脱スマット条件の適正化を図る。
  3. 前処理工程からの不純物混入防止、前処理工程後の水洗強化。

ニッケル塩封孔処理

  1. 粉ふき防止剤の添加、適正pHの浴管理(pH 5.6±0.2)、イオン交換水を用いる。
  2. 電解条件の適正化、脱スマット条件の適正化を図る。
  3. 前処理工程からの不純物混入防止、前処理工程後の水洗強化。
  4. 封孔剤または粉ふき防止剤の適正補給、封孔剤の更新、封孔浴の常時濾過。
  5. 封孔浴から引き上げ時の乾きムラ防止。(封孔後の水洗までの時間を短縮する。)

発生した粉ふきの除去例

  1. 濡らしたスポンジや布で拭き取る。
  2. ニッケル塩封孔でこびり付いたものは水に一晩漬けておくと取れる。
  3. バフ研磨で除去する。
  4. アルミイオンやニッケルイオンの錯化剤などの溶液に浸漬して除去する。
  5. 硝酸水溶液に浸漬して除去。性能低下も起こりうるので注意が必要。
  6. 市販の除去剤を使用する。

ニッケル塩封孔処理の動画


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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者