お客様より『アルミニウム製の看板をアルマイト加工で作りたい』とご相談をいただきました。

どんな看板なのか?お話を聞いてみないとわからないので、早速、お客様に詳細をお聞きするため、打ち合わせをさせてもらいました。

看板のサイズは、L450xW150xH9 材質A5052を使用して、
看板の文字には、緑色アルマイトを施し、ベースとなる板の部分は無色アルマイトを施したいとのお話でした。

アルミ素材

1枚のアルミ板に2色のアルマイト加工を施すには、

  • マスキングする
  • 印刷する

が一般的なのですが、
切削加工メーカー様の看板とのことで、切削を使いたいという話になり、
切削加工とアルマイトの技術を使って、1枚のアルミ板に2色のアルマイト加工を施すことになりましたが、

ここでは、マスキング・印刷・ダブルアルマイトについてご紹介していきます。

1.マスキングする方法

マスキングして文字を作る場合は、アルミ板にマスキング剤または、マスキングテープなどで、残したい部分にマスキング剤を塗布してアルマイト をおこなうことになります。

マスキングした部分は、アルマイト加工が施せないため、一度目のアルマイトをしてから、1度目のアルマイト部分をマスキングして2度目のアルマイトを施さなければなりません。

また、マスキング剤やマスキングテープを塗布したさかえめは、アルマイト液などが侵入する場合があり、クッキリとさかえ目を出すことが非常に困難です。

そのため、今回の看板の用途としては不適切となり、マスキングでおこなう方法は使用しませんでした。

マスキングテープの例
マスキングテープ

2.印刷する

アルマイト方法の中に、アルミニウムにアルマイト皮膜を施したあと、封孔処理をおこなう前に、オイル染料を使って印刷する方法。
または、アルマイト後にシルク印刷を施して印刷する方法などがあります。

産業用ネームプレートなどで、使われたりする方法ではあります。
金属銘板とか、アルマイト銘板と言われ様々な物に使用されています。

アルマイト銘板事例
アルマイト銘板

弊社では、アルマイト銘板の生産はおこなっておりません。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

3.ダブルアルマイト法

お客様が一番望まれていたのは、アルマイトと切削加工を組み合わせたアルミニウム製の看板で、このダブルアルマイト方法にて今回は作成することになりました。

ダブルアルマイト法とは、アルマイト を施した製品の一部分だけを切削し、2度目のアルマイト加工で、切削した部分だけにアルマイト を施す方法です。

今回最初のアルミ板に、緑色アルマイト を1回目で施しました。

緑色アルマイト後
グリーンアルマイト後

この緑色アルマイトを施したアルミ板に切削で、文字以外の部分となるベース部分を切削で掘り込みます。
今回切削は、お客様の工場の機械で切削してくださるということでこの状態で一度納品します。

数日後、切削から戻ってきた製品が、下記の写真になります。

文字切削後リオ

文字切削後アグ

切削したツールの目が綺麗にでています。
この切削した部分に、無色アルマイトを施すことで、腐食しにくいアルマイト看板が出来あがります。

文字のある部分は外観面であるため、傷などに注意しながらアルマイト用の通電接点を背面に取り電気を流してアルマイト加工をおこないますが、1度目のアルマイトの際に使用した接点を再利用して通電させる必要があります。

ここで注意しないといけないのが、接点が確実に取れないと2度目のアルマイト皮膜は生成しなくなってしまうので重要なポイントとなります。

また、アルマイト工程中に1度目に加工した緑色アルマイト部分の皮膜を破壊しないように丁寧にアルマイトをおこなわなければなりませんので、安易な作業はおこなえません。

無色アルマイトをベース部分に施した製品がこちらになります。

無色アルマイト後株

無色アルマイト後リオ

写真ではほとんど、わからないレベルだとは思いますが、無色アルマイトがベース部分に施されています。

このようにアルマイトすることで、今回は無色と緑色のアルマイトの組み合わせですが、
他の色との組み合わせも可能となりますし、同一色のアルマイトを部分的に施すことも可能となります。

4.動画で解説しています。

 

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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者