アルミニウム展伸材の基礎知識
アルミニウムには展伸材・鋳造品・ダイキャストなど様々な材質があります。今回は、展伸材にポイントを絞ってご紹介したいと思います。

・1000系アルミニウム(純アルミニウム)

1000番台の表示は工業用純アルミニウムを示します。1100や、1200が代表的なもので、いずれも99.00%以上の純アルミニウム系材料のことです。また、1100は陽極酸化処理 (アルマイト)後光沢をだすCuが微量添加されています。
そのほか、1050、1070、1085は、それぞれ、純度99.50、99.70、99.85%以上の純アルミニウム材料のことを指します。 これらの材料は加工性、耐食性、溶接性などは大変優れているのですが、強度が低いので構造材などの建築物などには向いていません。しかし、それほど強度を必要としていない家庭用品や電気器具、日用品などに多く使われています。

・2000系アルミニウム(Al-Cu系合金)

2017、2024は、ジュラルミン、超ジュラルミンの名称で知られています。これらは、鋼材と同等の強度があります。しかし、他と比べると多量の銅を含むので、耐食性に劣ります。雨風にさらさせるなど、腐食する可能性のある環境で使われる場合には、十分な防食処理が必要です。
2014は、高強度鍛造材として知られています。 しかし、溶融溶接性は他のアルミニウム合金と比べると、劣るため結合にはおもにボルト接合、抵抗スポット、リベット溶接が行われます。また、2014の特長として、切削性が良好でということです。特に2014に、Pb、Biを添加した2011は、快削性合金として機械部品等に多く使用されています。

・3000系アルミニウム( Al-Mn系合金)

3000系合金の中の3003は3000系の代表的な合金です。 Mnを添加したことによ純アルミニウムのもつ加工性、耐食性を低下させずに強度を増加させたものです。 建材や器物、容器等に多く使用されています。
3003に相当する合金にMgを1%ほど、添加した3004、3104は、さらに強度を増加さえて、アルミ缶のボディ、屋根板材、カラーアルミ、ドアパネル材等に多く使用されています。

・4000系アルミニウム(Al-Si系合金)


非熱処理によって用いられるアルミ合金です。 耐摩耗性の高い合金として4032があります。Siの添加により熱膨張率を抑え、耐摩耗性の改善を行ったもので、さらにCu、Ni、Mgなどの微量添 加により耐熱性を向上させ、鍛造ピストン材料等に多く使用されています。
4043は融点が低いという特徴を生かしてろう材として用いられるほか、Si粒子の分散により陽極酸化処理被膜が灰色であるため、溶接ワイヤー、建築用パネルにも使用されます。

・5000系アルミニウム(Al-Mg系合金)

Mg添加量の少ないものは装飾材などに、多いものは、缶蓋材や構造材に用いられています。中程度のMgを含有するものとしては5052が代表的で中程度の強度をもつ材料としてもっとも一般的なものです。
5083はMg含有量の多い合金で非熱処理合金としては最も優れた強度をもち、溶接性も良好です。 実用上の面からは防食処理としての表面処理は必要としません。 溶接構造材として船舶、温用タンク、圧力容器、 自動車用ボディパネル(インナーパネル・アウターパネル)等に使用されています。

・6000系アルミニウム(Al-Mg-Si系合金)


Al-Mg-Si系合金で、強度、耐食性が良好です。代表的な構造用材や自動車用ボディパネル(インナーパネル・アウターパネル)に使用されています。 しかし、溶接のままでは継手効率が低く、 ビス、リベット、ボルト接合による構造組立が行われることがあります。
6061-T6は耐力245N/mm2以上でSS400鋼に相当し、設計上、たわみを問題としなければ、同等の許容応力がとれるという利点がある。 特別な処理及び製造管理により低温短時間の加熱によって高いベークハード性を示します。これにより一層の軽量化が期待できます。 鉄塔、クレーンなどに用いられる。6063は応力腐食割れにも強く、押し出し性にも優れます。サッシなどの建築材料を中心に、6061ほど強度を必要としない構造材として使用されます。

・7000系アルミニウム(Al-Zn-Mg合金)


熱処理を行うことで、最も高い強度を得ることができます。 Al-Zn-Mg-Cu系合金と、Cuを含まない溶接構造用Al-Zn-Mg合金に分類できます。 Al-Zn-Mg-Cu系合金の代表的なものは7075で、航空機、スポーツ用品類に使用されています。 Al-Zn-Mg合金は比較的高い強さをもち、この材料は600N/mm2もの強度を誇ります。
溶接後の熱影響部も自然時効により母材に近い強さに回復するため、優れた継手効率が得られます。7N01がその代表的合金で溶接構造用材料として新幹線車両用などの鉄道車輌等に使用されます。

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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者