アルマイトを依頼する際に気になる点といえば、仕上がりももちろんですがコストも気になるところだと思います。
見積もりの依頼をしていただく際に、基本的には図面は必須で、そのほか製品に対しての取り決められた内容が明記されている仕様書などが必要となります。

アルマイトの見積書を作成するにあたり、必要となるのが図面です。
アルマイトは製品の表面積を計算し、その表面積が最初のベースとなる数値になるからです。
表面積あたり、どれだけの電流を流し、

  • どれだけの皮膜の厚さを要するのか?
  • 色は、どうするのか?
  • 硬さは、どうするのか?

など最低限、必要な情報だけでも、これだけあります。

また、製品の一度に依頼される数量は、いくつなのか?も必要となります。

では、実際に見積もりをおこなう際に、確認する事項から見積もり作成までをご説明していきたいと思います。

1.図面や仕様書から読み取る情報

見積もりの際には、図面や仕様書が必要になります。
図面や仕様書から、下記の情報を得て、見積もりを作成します。

  • 製品寸法
  • 寸法公差
  • アルミニウム材質(JIS番号)
  • 表面処理内容(例:無色アルマイト カラーアルマイトなど)
  • アルマイト皮膜厚さ
  • 外観などの注意点(キズ・ムラ・打コン)
  • 止まり穴などの有無
  • 熱処理の有無


まずは、これらの情報を得て、ここから表面積を計算していきます。

2.表面積の計算

表面積の計算は、小学校で習ったように、基本的には掛け算です。
縦cm×横cmをかけて表面積を計算し、全体の表面積を計算していきます。

円柱状でも同じように

(直径cm×3.14)×長さcmと、円柱の端面部の面積(半径cm×半径cm)×3.14と計算するのですが、パイプ状の製品ですと内面もあるので、内面の表面積ももとめます。

こうして、製品一つ一つの面積を計算し、その表面積をベースに見積もりをおこないます。
また、ここで算出した表面積というのは、アルマイトをおこなう際にも必要となる情報で、アルマイト皮膜の厚さを事前に算出する際に、必要となります。

例として、
10cm×5cmの板で厚み1mmの場合、表面積は片側で、50c㎡になります。
板材ですので、表裏ありますので、50c㎡に2を掛けることで、
50c㎡×2(面数)=100c㎡と、この板の表面積が算出できます。

3.仕様やその他の情報からコストを計算する

表面積が計算できたら、基本単価となるコストを算出します。

計算された表面積c㎡を100で割り、d㎡(デシ平方メートル)という単位に置き換えます。

先ほどの計算を例にして、紹介すると
100c㎡を100で割ることで1d㎡と置き換えれます。

1d㎡の表面積の製品にアルマイトを施すコストを算出するのですが、

無色アルマイト5μmの場合、

(1d㎡×単価/デシ)×重要事項係数=単価となります。

単価/デシ・・・・各業者毎の製造原価から算出された最低限の単価が入ります。
重要事項係数・・・ラッキングの難易度・特殊な工程・止まり穴の有無・寸法公差など

が含められます。

このほか、化学研磨や化学梨地・硬質アルマイトなどの工程が違うことで
さらに別の係数を掛けることで、コストを算出していきます。

カラーアルマイトのように染色の場合は、染料が色ごとに価格が違いますので、染料の価格から、必要とする染料の使用量を計算し、アルマイトのコストに上乗せするかたちになります。

「めっき・表面処理用語集」知りたい用語を検索。こちらで詳しく解説しています。

4.特殊な場合の見積もり

量産品などの場合、数量が膨大で生産するにあたり治具を大量に作成しなければならない場合があります。弊社でも実際に、同形状の治具を200本近く作成して量産している製品があり、この治具を作成するにあたり1本の価格が3.5万円ほどします。

治具の費用だけで、700万円ほどになります。
この治具費を

自己負担なのか?
お客様負担なのか?
または、折半で負担するのか?

このような場合もあります。
このような場合には、償却費が製品に乗るか乗らないかでも、コストが変わってきます。

5.単品部品の見積もり

単品部品の場合でも、今までにご説明してきた内容と同様なのですが、すでに使用されている部品などのアルマイト依頼がある場合や、DIYなどで作成された部品などの場合もあります。

これらの場合、生産に必要な情報が、どこまで教えていただけるかにかかっています。

ほとんどの場合、製品があるのみ・・・というパターンが多く、材質も不明となると見積もりが難しい状態になってきますので、製品の寸法のわかる写真などを送っていただいて、そこからおおよその表面積等を把握します。

また、『材質は何でしょうか?』とお尋ねすると『アルミ』です。

そうなるのも、理解できます。
ですが、アルミニウムにも数々の番手があり、その種類がアルマイトには必要な情報になります。

入荷後に、どの材質なのか、検討してある程度確認を取ってからのアルマイト加工になるので納期もかかってしまいます。

使用されていた場合、傷などの状況によっても仕上げるための工程にサンドブラストや化学研磨などがあり工程も違ってきますので、ここでも価格が変わってしまうのです。

単品部品の場合は、一概にどれぐらいのコストという風に提示しにくいのは、そういう部分になります。
全てを込みの状態で、価格を提示してしまうと高い価格に、量産品などと同じような価格で提示してしまうとコストが合わないとなってしまうことがあり、都度、製品に合わせて見積もりをさせていただくことになってしまうのです。

6.動画で解説しています。


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この記事の著者は

株式会社小池テクノ 代表取締役 大橋 一友

株式会社 小池テクノ 代表取締役社長
大橋 一友
毒物劇物取扱責任者
水質関係第二種公害防止管理者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
化学物質管理者
特別管理産業廃棄物管理責任者